2013 Fiscal Year Research-status Report
タンガニイカ湖産シクリッドにおける精しょうタンパク質の分子進化
Project/Area Number |
25840130
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
守田 昌哉 琉球大学, 熱帯生物圏研究センター, 准教授 (80535302)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 精しょうタンパク質 / シクリッド / 分子進化 / 産卵行動 / 精子 / 受精 |
Research Abstract |
タンガニイカ湖に生息するカワスズメ科魚類(以下シクリッド)は、多様な子育てをすることが知られている。中でも口内で子供を育てる口内保育はその特徴の1つでもある。一方で口内保育をする際に、卵の受精の仕方が異なると推察されていて、その受精の仕方と精液の形質に大きな相関があるのではないかと予想し研究を進めてきた。シクリッドがもつ精しょう糖タンパク質SPP120は、精液の粘度をあげ精子の運動を抑制することが予想されていた。一方で、申請者の野外観察から、口内保育魚の中には口内で受精させない種もおり、これらの行動を示す種では精液の素早い拡散と精子の速やかな運動の開始が望ましいと推察されていた。従って、SPP120は口内保育魚の受精の仕方が変化するに伴い、その機能の変化が支持されると推察された。以上の予想から20種以上の種からSPP120のcDNA配列を単離し、分子進化解析を行った所、受精行動の変化した種において特定のコドンの非同義置換が正の選択を受けていることが判明した。その機能変化を調べるために、タンパク質の発現系を確立し、このコドンに点変異を入れたコンストラクトを作成した。また、SPP120は多くのドメインから構成されているタンパク質であるが、そのドメインの機能を調べるために各ドメインのみを発現するようなコンストラクトの作成および発現系の確立も行った。今後、発現タンパク質を用いた機能解析を、精子の運動および精子の凝集化、そしてSPP120のポリマー形成の検証を、顕微鏡による精子に運動の観察・記録そして化学架橋法などを用いて行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
発現系の確立ができ、機能解析を行うためのコンストラクトも作成出来ている。さらに機能解析の予備実験も終了している。従って、今年度は確認実験を行い、論文の投稿を目指せる状態にあるため。
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Strategy for Future Research Activity |
正の選択を受けている箇所が機能的に重要であるのか、立体構造を明らかにして行く必要がある。また、糖鎖の機能解析を行う必要もある。さらに、行動が種内で多型性も持っている種もおり、その行動観察と種内で、行動の違うグループ間でSPP120の配列の違いを検証すること、糖鎖付加の程度の違いを検証して行きたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究の遂行が予想よりもスムーズに進み解析費用が少なくて済んだため、次年度に繰り越し解析費用にまわすことにした。 タンパク質の精製や、遺伝子のクローニング等に手間と時間がかかるため、人件費にまわしその手間および精度を上げることにした。
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Research Products
(2 results)