2014 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25840136
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Research Institution | Okayama University of Science |
Principal Investigator |
矢野 興一 岡山理科大学, 生物地球学部, 助教 (60582757)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 系統分類 / 系統進化 / カヤツリグサ科 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、被子植物のなかで多様に分化した分類群の1つであるカヤツリグサ科スゲ属植物の原始的な種群(タガネソウ節:Carex section Siderostictae)について、形態学的解析、細胞遺伝学的解析、分子系統学的解析および生活史特性の解析をおこない、分化の初期段階でどのような変異がおこり、多様化してきたのかを明らかにすることを目的とする。 平成26年度は、研究材料の収集のための野外調査を、中国浙江省、関東省で研究協力者とともに実施した。現地では、形態学的解析用標本、細胞学的解析用サンプル、分子系統学的解析用サンプルを採集した。また、中国浙江省杭州師範大学圃場にて、前年度に採集し、植栽していた植物個体から染色体分析用サンプルを採集した。さらに、中国科学院昆明植物標本庫、北京植物標本庫、上海辰山植物標本庫および東京大学植物標本庫、国立科学博物館植物標本庫、千葉県立博物館標本庫にて、標本調査をおこなった。現在、これらのサンプル用いて、外部形態学的特徴の比較と詳細な分布情報の把握、染色体の算定、DNA塩基配列の決定をおこなっているところであり、特にDNA塩基配列の決定では新たに葉緑体DNAのrps16intron領域を解析した。 ここまでの研究成果として、平成26年度は、これらの解析から見出されたスゲ属の祖先的なグループに関するさらなる詳細な結果を講演会や研究会等で発表した(矢野 2014)。また、現地調査と花粉分析から見出されたスゲ属の花粉の送受粉についての新たなる知見も研究発表した(矢野 2014)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は現地調査を予定通りに進めることができたために、中国雲南省のタガネソウ節グループの一部の花粉送受粉に関して重要な知見が得られた。また、葉緑体DNAの解析領域を新たに増やした事により、系統学的関係をより詳細に明らかにできた。 しかし、外部形態解析においては、従来の分類とは異なるグループがタガネソウ節グループに含まれてきたことから、共通形質の把握が難しく、もう少し詳細な外部形態形質の解析を進める必要があると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
本年、平成27年度は、前年度同様にこれまでに集めたサンプルを用いての解析を進めるとともに、新たに分かってきたスゲ属の多様性に関する知見に関して、より詳細な解析をおこなうための野外調査と標本庫でのサンプリングをおこない、解析を進める予定である。また、本年は研究計画の最終年度であることから、これらの研究成果を学会誌等で公表する予定である。
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Causes of Carryover |
分子系統学実験の補助をしている学生の実験可能時間が予定していた時間より少なかったため、謝金として当初概算していた額より少なくなり、未使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
昨年度に採集したサンプルの解析に必要な試薬・消耗品に使用する予定である。
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