2014 Fiscal Year Research-status Report
好塩性古細菌Halobacteriaceae科の明確な系統分類
Project/Area Number |
25840142
|
Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
峯岸 宏明 東洋大学, 工業技術研究所, 奨励研究員 (30440019)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 好塩性古細菌 / Halobacteriaceae科 / 分類同定 / Halococcus agarilyticus / Halocalculus |
Outline of Annual Research Achievements |
古細菌最大数のグループであるHalobacteriaceae科に属する好塩性古細菌は、2015年4月現在、48属191種が学名として正式に発表されている。これらの同定においては極性脂質組成、16S rRNA遺伝子塩基配列の相同性、DNA-DNAハイブリダイゼーションの相同値が特に重要なファクターである。しかし、Halobacteriaceae科では多くの種において複数の16S rRNA遺伝子コピーが存在し、その中にはコピー間の相同性が低いものもあり、各々の配列で系統樹のトポロジーが大きく異なることが指摘されている。申請者はHalobacteriaceae科がオーソロガス16S rRNA遺伝子の上流遺伝子群により二つのグループに分かれることを示しており、これまで既知種のオーソロガス16S rRNA遺伝子を決定してきた。 平成26年度は、新たに発表された23種のオーソロガス16S rRNA遺伝子配列およびrpoB遺伝子の塩基配列を解析した。新種の菌株に関してもこれまでの結果と矛盾することなく、二つのグループに分かれた。 さらに、Halococcus属を中心に表現型解析も進めた。Halococcus属の多くは1990年代に発表された種が多く、発表者により性質が大きく異なっていた。そこで申請者らが分離したHalococcus属の新種株を含めて同一培地での解析を行った。新種株はHalococcus agarilyticusとして提唱し、採択された。さらに耐酸性である新属Halocalculus aciditoleransを提唱のために、近縁であるHalarchaeum属に関しても同一培地で表現型試験を行った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度も昨年度同様数多くの新種が提唱されたため、分類学的位置を明確に把握するために、順次遺伝子型解析を行った。新種と報告された23種についてオーソロガス16S rRNA遺伝子配列およびrpoB遺伝子の塩基配列を決定した。また、新たな分子マーカーとなると考えられるrpoB2、rpoH遺伝子塩基配列解析も行った。また、初年度に計画していた表現型解析を行った。Halococcus属、Haloarcula属、Halarchaeum属についてその諸性質を明らかとした。 Halococcus属に関しては新種を含めて試験を行い、これらデータを元に新種Halococcus agarilyticusを提唱した。さらに新属Halocalculus aciditoleransの提唱には、近縁属であるHalarchaeum属の性質データと比較した。これらの属に関してはDNA-DNAハイブリダイゼーションによる相同性評価も行った。
|
Strategy for Future Research Activity |
最終年度も引き続き、表現型解析及びオーソロガス16S rRNA遺伝子に基づく系統解析を進めていく。DNA-DNAハイブリダイゼーションは通常、種間の相同性評価に用いられるが、申請者らのこれまでの解析によりHalobacteriaceae科においては属間においても有効である可能性を見いだしている。よって、最終年度は遺伝子型解析のうち未達成である属間におけるDNA-DNAハイブリダイゼーション相同値評価を行う。 また、オーソロガス16S rRNA遺伝子に基づく系統解析上で同一クラスターにあるHalomicroarcula属、Haloarcula属およびHalomicrobium属に関してin silico DNA-DNAハイブリダイゼーションも進めていく予定である。 これらを達成し、Halobacteriaceae科の再分類に関して学術論文にまとめ、2016年に開催されるICSP Subcommittee on the Taxonomy of Halobacteriaceaeにおいて発言する予定である。
|
Causes of Carryover |
当初購入する予定だった実験用消耗品を、次年度の購入に見送ったため
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
プラスチック消耗品を購入する。
|