2013 Fiscal Year Research-status Report
大型鳥類サイチョウ類の種子散布行動が樹木の繁殖成功を左右する:散布地間の比較研究
Project/Area Number |
25840162
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Ishikawa Prefectural University |
Principal Investigator |
北村 俊平 石川県立大学, 生物資源環境学部, 准教授 (60549674)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 種子散布 / サイチョウ / 種子食害 / カオヤイ国立公園 / Aglaia spectabilis / Canarium euphyllum |
Research Abstract |
今年度は主な調査対象種であるアグライアとカナリウムの結実フェノロジーの調査データから、調査対象として適した樹木の選定および自動撮影カメラを利用した種子の持ち去り調査の予備実験を行った。しかし、例年よりもアグライア、カナリウムともに結実規模が小さかったため、当初予定していた結実木周辺での種子の運命を追跡するための調査を十分に行うことができなかった。 そのため、サイチョウ類の繁殖期(1月から5月)に営巣木に餌として運ばれた果実に由来する種子を回収し、それらを実験室内で発芽実験に供し、サイチョウ類の種子散布者としての質的有効性を補強するデータを収集した。カオヤイ国立公園内で繁殖する4種のサイチョウ類(オオサイチョウ、シワコブサイチョウ、キタカササギサイチョウ、ビルマサイチョウ)のうち、営巣数が多く確認されたオオサイチョウ(回収したアグライア種子32個)、シワコブサイチョウ(同122個)、キタカササギサイチョウ(同139個)の3種を対象とした。また、コントロールとして、アグライアの結実木周辺で100個の種子を回収し、そのアリルを人為的に除去したものを発芽実験に供した。その結果、3種のサイチョウ類ともに発芽率はコントロールと大差なく、いずれも良好な発芽率を示したことから、少なくとも調査対象のうちのアグライアに関しては、種子にダメージを与えないことが確認できた。 また、申請者が1998年から2002年にかけて個体識別した4ヘクタールプロット内のアグライアとカナリウム実生の再調査、および結実木周辺での実生の分布調査についても予備調査を行い、生存個体を確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成25年度は例年よりもアグライア、カナリウムともに結実規模が小さく、当初予定していた結実木周辺での調査を十分に行うことができなかった。そのため、次年度以降は調査範囲を拡大して、結実フェノロジーの観察個体を増やして調査に利用できる個体数を増やす予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は前年度に予定のデータを得られなかった結実木周辺での種子の持ち去り調査と実生の分布調査の両方を行う。アグライア、カナリウムともに毎年結実するが、結実規模は年変動する。結実木周辺での種子の持ち去り調査では、1年目に十分なサンプル数を確保できなかった樹種と散布地を優先して調査を行い、少なくとも2年分のデータセットを得ることを目指す。 また11月に共同研究者を訪問した際に平成25年度の調査状況と平成26年度以降の調査について意見交換を行った。その際、先行研究として行ってきた営巣木におけるサイチョウ類の種子の体内滞留時間の観察調査も継続することを提案されたので、これに同意した。この調査については、共同研究者の現地スタッフが中心となって収集するため、本プロジェクトの遂行には支障はなく、最終的に本プロジェクトの内容をまとめる際に有効活用できる。 27年度は過去2年間の情報を整理し、さらに調査対象を絞り込み、4種類の種子散布地で種子の運命を比較できるようにデータを収集する。実生の分布調査では、過去に個体識別した調査地を再訪問し、実生の生存状況を確認すること予定である。
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