2015 Fiscal Year Annual Research Report
大型鳥類サイチョウ類の種子散布行動が樹木の繁殖成功を左右する:散布地間の比較研究
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25840162
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Research Institution | Ishikawa Prefectural University |
Principal Investigator |
北村 俊平 石川県立大学, 生物資源環境学部, 准教授 (60549674)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 種子散布 / サイチョウ / 種子食害 / カオヤイ国立公園 / Aglaia spectabilis / アグライア |
Outline of Annual Research Achievements |
タイ王国カオヤイ国立公園の熱帯季節林で大型種子(32x20mm)をもつ樹木Aglaia spectabilis(アグライア)を対象にサイチョウ類の質的な有効性を吐き戻した種子の発芽実験と4ha内のアグライア全個体の15年間の追跡調査から評価した。サイチョウ類が吐き戻した種子293個とコントロール種子204個を播種後、3ヶ月間追跡した結果、発芽率は吐き戻し種子85%、コントロール種子77.5%だった。4ha調査区内で、2000年8月にアグライアの全数調査を行い、1004個体の空間分布と15年後の生存率を評価した。2000年8月の樹高を基準として、親木:繁殖個体、若木:樹高4m以上の非繁殖個体、幼樹:樹高2-4mの個体、稚樹:樹高0.5-2mの個体、実生:樹高0.5m未満の個体(2年生以上)、当年生実生の5段階に類別し、2014年12月と2015年12月に再調査を行った。当年生実生は、母樹からの落下やネズミ類の二次散布よりも広範囲に分布しており、サイチョウ類が散布した可能性が高いと考えられた。実生、稚樹、幼樹はいずれも集中分布を示した。15年後の生存個体は、親木(100%、n=11)、若木(68%、n=28)、稚樹(52%、n=56)、幼樹(40%、n=418)、実生(28%、n=435)、当年生実生(16%、n=56)で、樹高が高い区分ほど、高い生存率を示した。先行研究から、アグライア母樹周辺に落下した種子は、げっ歯類による種子食害を受ける。量的に有効な種子散布者であるサイチョウ類の種子散布距離は1kmを超え、母樹から離れた場所に種子を散布する可能性が高く、実験的に母樹周辺以外に播種した種子の食害率は低い。さらに本研究から、アグライアは実生定着後に高い生存率を示したことから、サイチョウ類は大型種子をもつアグライアの量的・質的に有効な種子散布者として機能していると考えられる。
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Research Products
(3 results)