2014 Fiscal Year Annual Research Report
オランウータンの前肢における筋骨格モデル作成のための基盤研究
Project/Area Number |
25840171
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Research Institution | Nippon Veterinary and Life Science University |
Principal Investigator |
大石 元治 日本獣医生命科学大学, 獣医学部, 講師 (40549557)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | オランウータン / 懸垂運動 / 筋束長 / PCSA / 肘関節 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的の一つには筋骨格モデル作成に必要なパラメーターの入手が挙げられる。本年度はオランウータン1個体、また比較対象となるチンパンジー1個体の解剖を行い、筋重量、筋束長、PCSAなどの筋パラメーターを入手した。肘関節の運動に関係する筋群においては、オランウータンに高頻度に認められる樹上性ロコモーションを反映するように屈筋群が発達していたが、そのなかでも二関節筋である上腕二頭筋がチンパンジーと比較して未発達であることを確認することができた。 また、前肢と、その運動の土台となる胸郭についてCT撮影を行い、骨格系の三次元データを入手した。前肢については前腕が最大回内位、あるいは最大回外位に固定してCT撮影を行い、回内-回外可動域を推定した。オランウータンは他の霊長類よりも広い可動域を持つことが示唆された。また、オランウータンの胸郭はアフリカ類人猿とは異なる形状を持つことが推測された。これらの結果については研究協力者とともにヒトのデータも含めて検討を進める予定である。 筋骨格モデル作成には関連する筋パラメーターだけではなく、関節の可動域などの運動学的データも必要である。昨年度に引き続き千葉県市川市動植物園において、オランウータンの行動観察を行った。垂直木登り時には肘関節を伸展させて状態で前肢が着地し、離着時には肘関節は90度以上屈曲していた。今回、得られたデータは約5歳の若い1個体からのものであり、今度は成体の個体など、サンプル数を増やすことが課題であると考えられた。
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