2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25840173
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
|
Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
李 スミン 千葉大学, 環境健康フィールド科学センター, 助教 (90600429)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 性周期 / 光 / 時間感覚 |
Research Abstract |
ヒトの脳には2種類の概日時計と時間経過時計がある。数秒から数分の時間経過の感覚、すなわち時間感覚は様々な心理生理的要因によって影響されることが報告されている。しかし、ヒトが生きていくために必要な単波長光と、ヒトが生物として持っている性周期が時間感覚に及ぼす影響については知られていない。そこで、本研究は各性周期(卵胞期・黄体期)において青色、赤色などの短波長光を曝露し、時間感覚を測定することにより時間感覚に及ぼす性周期と光の影響を明らかにすることを目的している。今年度は女子学生8名を被験者として、実験を行った。事前に正常視覚であることと2ヶ月前から婦人科の病気がなく正常な性周期を持つことを確認した。被験者は各性周期(卵胞期・黄体期)別にカウンターバランスをとり、実験に参加した。実験は暗室で実施され、発光ダイオード(LED)光源を用いた積分球に青色(440 nm), 赤色(630 nm)の光環境を設定した。測定項目として、時間産生タスク、事象関連電位P300、唾液プロゲステロン濃度、性格特性、月経随伴症状(MDQ)、主観評価を行った。 実験が始まる前に唾液サンプルを採収し、被験者は15分間、提示された光に暴露された。その後、標準刺激として1000 Hzの低音、標的刺激として2000 Hzの高音を聴きながら、標的刺激に対してボタンを押す弁別反応課題(オドボール課題)を20分間行った。時間産生タスク(180秒推定)、主観評価を測定した。P300の分析の際には、ノイズが混入した3名のデータを除いた。その結果、時間産生タスクでは、性周期の有意な主効果は認められなかったが、光条件の有意な主効果が得られ、青色の方が赤色より180秒の産生時間が長いことが明らかになった。 しかし、P300での最大振幅・潜時には有意な結果は得られなかった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度の研究計画通り、8名の女子学生を対象にし、光と性周期がヒトの時間感覚に及ばす実験を実施した。その結果の中で青色の方が赤色よりヒトの時間感覚が長く感じられることが分かり、意義深いと思っている。
|
Strategy for Future Research Activity |
25年度の実験中に光呈示システムが不安定であったため、そのシステムを新たに製作する予定である。 なお、25年度に得られた結果を改めて再解析することと共に、26年度には前年度の実験内容を新たな被験者10名を対象にし、実施する。そして、その2年間の結果を統括し、分析・考察することを計画している。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
MP150(biopac社)とEEG、EOGを購入するには金額が足りないため、H26年度の請求額と合わせ購入する予定である。 H25年度の残額と合わせ、EEG,EOGとそれを繋ぐケーブルなどを購入する。 なお、被験者の謝金、実験アシスタントなどの人件費、なお、実験に伴う消耗品購入に使う予定である。
|