2013 Fiscal Year Research-status Report
優れた植物形質転換特性を有する新規ハイブリッドアグロバクテリアの作出
Project/Area Number |
25850003
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
山本 真司 広島大学, 理学(系)研究科(研究院), 特任助教 (50607348)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 形質転換 / アグロバクテリア |
Research Abstract |
平成25年度は、多様なアグロバクテリア菌株のもつ病原プラスミドを効率よく可動化し、菌株間で交換する技術の改良および交換株の作出を目標とした。 病原プラスミドをRP4接合系によって菌株間で移動できるようにするために、接合起点oriTを含む小型プラスミドを相同組換えによって一旦病原プラスミドと融合させる。相同組換えに用いる領域を400 bpから4 kbpまで拡張することで、小型可動化プラスミドの融合効率は100倍近く上昇した。このことで、小型可動化プラスミドの導入効率が低い菌株に対しても病原プラスミドの可動化が可能になった。 可動化した病原プラスミドは接合によって予め病原プラスミドを除去しておいたアグロバクテリア受容細胞に導入するが、菌株によっては抗生物質耐性を持たないものもあるため、一旦トリプトファン要求性のアグロバクテリアを供与細胞として用いることで接合反応後の受容細胞の選抜を容易にした。同技術によって病原プラスミドの導入を試みたところ、駐在プラスミドとの不和合性の問題で受容菌株によっては導入効率が著しく低いことがわかった。そのため、病原プラスミドと不和合なプラスミドを除去するための除去用プラスミドを作成した。また、受容細胞に病原プラスミド上に存在するvirA/G遺伝子によって発現誘導されるルシフェラーゼ遺伝子を含むレポータープラスミドを持たせることで、病原プラスミドを持つかどうかを簡便に判定できるようになった。 これらの技術を組み合わせることで、現在形質転換に汎用されているAgrobacterium tumefaciensのみならず、近縁のA. rhizogenesやA. vitis、根粒菌のRhizobium etliにおいても病原プラスミドの交換が可能になり、よりいっそう多様なリゾビウム科細菌のもつ形質転換特性を評価することが可能になった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成25年度の目標である、病原プラスミド交換技術の確立は概ね達成できたが、病原プラスミドと駐在プラスミド間での不和合性の問題を解決するために、除去用プラスミドの作成や駐在プラスミドの予期しない脱落に対応するために時間を要した。前述プラスミド交換技術に関しては、当初の考えよりも適用範囲を広げることができたが、平成25年度後期に予定していたハイブリッド菌株の作出は、まだ途中段階にある。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度はまず、先年度中途であったハイブリッド菌株の作成を引き続き行う。改良した病原プラスミド交換技術を用い、A. tumefaciens以外の他種も含めた多様なハイブリッド菌株を作出し、10株程度を形質転換特性の評価に供したい。 形質転換の特性については、フェノール化合物による病原遺伝子誘導活性およびタバコやトマトのなどに対するT-DNA導入効率で評価する。同時に実際の形質転換操作における性質(植物切片への影響など)も加味し、特徴的な菌株について現在形質転換が困難な植物に対する形質転換能力を評価する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
特に消耗品に関して、既存の物品を効率的に使用したこと、キャンペーン割引等の利用で定価より安く物品を購入したこと、加えて研究計画の軽微な変更があったことで、使用額の余剰が生じた。 アグロバクテリアを始めとした細菌の培養や無菌操作に伴う培地や試薬などの物品、植物細胞の培養に必要な培養容器などの消耗品を購入する。また、形質転換特性を評価するにあたり必要な分子生物学的解析に使用する試薬等の消耗品を購入する。情報収集・学会発表のための出張旅費、論文発表のためにその他の費目支出をする。
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Research Products
(1 results)