2014 Fiscal Year Annual Research Report
優れた植物形質転換特性を有する新規ハイブリッドアグロバクテリアの作出
Project/Area Number |
25850003
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
山本 真司 広島大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (50607348)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 形質転換 / アグロバクテリア |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度はまず、昨年度確立した病原プラスミド交換技術を用い、アグロバクテリアを含むリゾビウム属細菌4種6株について、各菌株の持つ病原プラスミドをそれぞれ交換したハイブリッド菌株を作成した。これら菌株が同細菌の感染誘導物質であるアセトシリンゴンを加えた時にどの程度病原遺伝子が発現するのか比較した。結果、野生株よりも高い病原遺伝子発現を示すハイブリッド菌株が複数見出された。最新のアグロバクテリアの系統解析データを基に、単子葉植物に親和性の高い菌株や、キク科植物に極めて高い腫瘍形成能を示す強病原株など7株を選抜し、これらのハイブリッド菌株を追加作成した。野生型も含む計61菌株について、様々な条件で病原遺伝子の発現を比較評価した。その結果、病原遺伝子の発現が最大になる時間が菌株によって異なること、宿主細胞に殆ど依存せず強い病原遺伝子発現能を有する病原プラスミドがあること、共存させる植物細胞(タバコ・イネ)によって病原遺伝子の発現が大きく変わる宿主細胞など形質転換に有用な特性が多数見出された。 本研究では、形質転換に利用されていない多様なリゾビウム属細菌の形質転換への応用可能性を検討した。平成25年度は病原プラスミドをRP4接合系で移動させるための加工など、同細菌間での病原プラスミド交換技術を確立した。平成26年度は上述したように、同技術を用いて多様なリゾビウム属細菌を材料にハイブリッド菌株を作製し、特定の植物細胞で強く病原遺伝子が誘導される宿主細胞など形質転換操作への応用が期待できる菌株を選別できた。本研究で確立したハイブリッド菌株作成法はリゾビウム属細菌に広く応用でき、その形質転換特性の評価を可能にした。膨大な数の多様な未利用菌株を材料とし、その潜在的な形質転換に有用な特性を顕在化できれば、現在形質転換が困難な植物に対しても適用可能な菌株の開発につながる。
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Research Products
(1 results)