2014 Fiscal Year Annual Research Report
乾燥ストレス条件下で生育の抑制がなく且つ耐性を向上させた植物の開発
Project/Area Number |
25850007
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
戸高 大輔 東京大学, 農学生命科学研究科, 特任助教 (10533995)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 乾燥ストレス / イネ / 生長 |
Outline of Annual Research Achievements |
転写因子をコードするDREB1遺伝子を植物に導入し恒常的に過剰発現させると大幅に環境ストレス耐性を向上させることができる一方で、生育が抑制されてしまう。本研究では、生育を正に制御する転写因子の一つであるOsPIL1遺伝子を利用し、この生育の抑制を克服することを目指した。平成26年度は、DREB1遺伝子とOsPIL1遺伝子を同時にイネ葉肉プロトプラスト内で一過的に過剰発現させ、両転写因子が互いの転写活性化能に負の影響を与えず独立に転写を正に制御することを確認した。また、DREB1A過剰発現シロイヌナズナとOsPIL1過剰発現シロイヌナズナを交配し、これら両遺伝子を高発現させた二重過剰発現植物を作製した。この二重過剰発現植物の胚軸及び花茎の伸長は、DREB1A過剰発現体と比べて促進した。乾燥ストレス処理後の二重過剰発現シロイヌナズナの生存率は、ベクターコントロールやOsPIL1過剰発現体よりも向上し、DREB1A過剰発現体と同程度になった。二重過剰発現シロイヌナズナにおけるOsPIL1とDREB1Aの下流遺伝子の発現量は、それぞれを単独に過剰発現させたシロイヌナズナと同程度に増加していた。また、OsPIL1 DREB1A二重過剰発現イネの収量および出穂に要する日数は、OsPIL1過剰発現イネとDREB1A過剰発現イネの中間的になることが示された。 本研究期間全体を通じた研究によって、1) DREB1及びOsPIL1両転写因子は互いの転写活性化能に負の影響を与えず独立に転写を正に制御すること、2) OsPIL1 DREB1A二重過剰発現植物はDREB1A過剰発現植物と同程度のストレス耐性を有すること、3) DREB1A過剰発現植物の生育の抑制は、OsPIL1の導入によって改善されること、を明らかにした。
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Research Products
(2 results)