2013 Fiscal Year Research-status Report
ジベレリン欠損変異が関与するバレイショの収量性及び栽培化過程の解明
Project/Area Number |
25850008
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
浅野 賢治 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 北海道農業研究センター畑作研究領域, 研究員 (80547034)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | バレイショ / ジベレリン / 収量 / 矮性 |
Research Abstract |
日本国内のバレイショ品種育成過程に出現する矮性個体が、これまでに報告のあるga1と同座であるかは不明である。そこでga1を二重式に有する(GGgg)Pitoと、後代に矮性個体が多く出現するコナフブキの交配後代を展開し同座性検定を実施した。その結果正常:矮性が832:27の分離比で分離した。この結果からPitoとコナフブキは同じ矮性遺伝子を有すること、両品種とも矮性遺伝子を二重式に有すること、その矮性遺伝子はga1である可能性が高いことが明らかとなった。コナフブキの矮性遺伝子がga1であることを確定するために、新たに導入したga1ホモ個体とコナフブキの交配を実施した。平成26年度にこの種子を展開することでコナフブキの矮性遺伝子とga1が同座であるかを確定できる予定である。 これまでに他の植物種で報告されているジベレリン(GA)合成酵素遺伝子をクエリーにして、バレイショゲノムに対してBLAST検索を実施した。その結果、8本の染色体に13のGA合成遺伝子がマップされた。 次にPito×コナフブキから分離した矮性個体27個体と正常個体24個体それぞれから作出したバルクDNAを用いてBulk segregant analysis法による原因遺伝子座乗位置の特定を試みた。始めにGA合成遺伝子近傍に座乗する26のSSRマーカーを用いて、正常個体のバルクDNA特異的なバンドを持つマーカーを探索したが、特異的なバンドを持つマーカーは見いだせなかった。次に同じバルクDNAに対して、AFLP解析を行った。その結果23本の正常バルク特異的なバンドを見いだした。現在このバンドの塩基配列の決定と座乗位置の特定を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度に予定していた同座性検定は達成できた。また、平成26年度までに実施予定の矮性遺伝子の特定も当初の予定通りに順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度以降は、平成25年度に特定した正常個体バルクDNA特異的なAFLPバンドの座乗位置を特定することにより、矮性遺伝子の座乗位置を特定する。矮性遺伝子を特定後は、生育過程の様々な時期や期間に矮性遺伝子がどのような発現パターンを示すか明らかにする。 原因変異をマーカー化し、主要品種における矮性変異の有無やその数を調査する。また、同一の交配後代において、保持する矮性遺伝子数が異なる系統の収量調査を実施し、収量性と矮性変異数の相関の有無を確認する。 さらには、栽培種や野生種において矮性変異の有無を調査する他、選抜した矮性変異数の異なる系統において日長反応性を調査することによって矮性変異と日長反応性の関係を調査する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初矮性遺伝子の座乗位置特定のために、多くのAFLP解析を実施する必要があり、大量のTaqポリメラーゼを必要とする予定であった。しかしながら当初予定よりも少ない解析で特異的バンドを見出すことができたため、物品費が少なくなった。また、実験補助のための人件費も減少した。 平成26年度は、特異的バンドの座乗位置特定や矮性遺伝子の特定のための分子生物学関連試薬、プライマー合成、シーケンス解析委託に助成金を使用する。また、植物体を圃場で育成するために必要な肥料や農薬等の農業資材の他、実験及び圃場作業の補助のための人件費として使用する。平成25年度の当初予定額より少なくなった分については、遺伝子発現解析やジベレリン含量の測定を当初予定より点数を増やして実施し、詳細な解析を行うことにより使用する。
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