2014 Fiscal Year Research-status Report
ジベレリン欠損変異が関与するバレイショの収量性及び栽培化過程の解明
Project/Area Number |
25850008
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
浅野 賢治 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 北海道農業研究センター畑作基盤研究領域, 研究員 (80547034)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | バレイショ / ジベレリン / 収量 / 矮性 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでにga1を有するPitoと国内の主要品種であるコナフブキの交配後代における後代検定の結果から、コナフブキがga1を有する可能性が高いことが示唆された。コナフブキの有する矮性変異がga1であることを確定するために、ga1ホモ個体であるGS194とコナフブキの交配から得られた後代集団を展開し、後代検定を実施した。その結果GS194×コナフブキの後代では、正常個体:矮性個体が405:68の分離比で分離した。この結果からコナフブキの持つ矮性変異はga1と同座であり、コナフブキはga1を二重式に有することが明らかになった。 昨年度Pito×コナフブキから分離した矮性個体27個体と正常個体24個体を用いて矮性バルクDNAと正常バルクDNAを作出し、Balk segregant analysis法により23本の正常バルクDNA特異的バンドを見出した。これらについて塩基配列及び座乗位置の決定を行った。しかしながら、塩基配列を特定できたバンドについてBLAST検索を行ったものの、ゲノム上の多くの位置にマップされ、座乗位置を特定することができなかった。そこでバルクにしていない矮性個体と正常個体各14個体のDNAを用いて、再度ジベレリン(GA)合成酵素遺伝子近傍のSSRマーカーとの連鎖解析を行った。その結果、一つのGA合成酵素遺伝子近傍に座乗するSSRマーカーと表現型との間に強い連鎖を見出した。現在この遺伝子のエキソン領域の塩基配列の決定を進めており、現在までに4ヶ所の非同義置換を見出した。この変異をCAPSマーカー化し、分離集団の遺伝子型を決定した。その結果、矮性個体ではこれらの変異が全てホモ型であったが、正常個体の一部でもホモ型個体があり、これらの変異が原因の変異ではないことがわかった。現在塩基配列が未解析のエキソン領域が残されており、その領域の解析を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
矮性変異体の原因遺伝子の特定は平成26年度中に完了する予定であったが、まだ原因変異の特定には至っていない。しかしながら、これまで見出した変異が全ての矮性個体でホモ型あったことから、現在解析中の遺伝子が原因遺伝子である可能性は非常に高いと考えている。今後は未解析領域の解析を進めるとともに、イントロン領域への変異による遺伝子発現量の変化が起こっている可能性なども視野に解析を進める予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度は早急に原因変異の特定を進める。原因変異の特定後はその変異をマーカー化し、主要品種における矮性変異の分布やそのアリル数を調査する。また、兄弟系統において保持する矮性遺伝子数が異なる系統を選抜し、収量性や熟期との相関を解析する。また、野生種における矮性変異の有無の調査も行う。
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Causes of Carryover |
平成26年度中に原因変異を特定し、主要品種での変異の分布調査等の解析を進める予定であったが、原因の特定に至らず物品費が少なくなった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度は、変異特定のためにシーケンス解析委託に助成金を使用する他、原因変異の特定後は主要品種や野生種における変異の分布調査や遺伝子発現解析に分子生物学実験関連試薬を使用する。また、植物体を栽培するための圃場資材や、実験及び圃場作業の補助のための人件費として使用する。平成26年度の当初予定額より少なくなった分については、昨年度実施できなかった分布調査を行う予定である。
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