2013 Fiscal Year Research-status Report
田畑輪換体系下における畑地化効果を活用したダイズの生産性向上に関する研究
Project/Area Number |
25850013
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
|
Research Institution | 秋田県農林水産部(農業試験場、果樹試験場、畜産試験場、水産振興センター及び森林技 |
Principal Investigator |
松波 寿典 秋田県農林水産部(農業試験場、果樹試験場、畜産試験場、水産振興センター及び森林技, その他部局等, 研究員 (10506934)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | ダイズ / 水田輪作 / 無代かき / 畑地化 / 環境調和型農林水産 |
Research Abstract |
わが国のダイズは主に水田転換畑で栽培されているため,出芽時や生育初期における湿害を受けやすく,さらにその後の土壌乾燥による干ばつ害を受けやすいことが低収をもたらす要因とされている.水田転換畑におけるダイズの生産性向上のためには,圃場の排水性と砕土性を中心とした根圏域土壌の物理的環境の改善が必須である. そこで,本研究では輪作体系として畑地化効果が期待される水稲無代かき栽培に着目し,前作水稲作付け時の代かきの有無が転換前後の根圏域土壌の物理化学性とダイズの収量形成過程に及ぼす影響を明らかにし,田畑輪換体系下における畑地化効果を活用したダイズの生産性向上の技術開発に資することを目的とした.平成25年度は前作水稲作付け時における代かきの有無が水稲の収量と作付け後の土壌の物理化学性と微生物相に及ぼす影響について検討した.その結果,代かき区に比べ,無代かき区では,穂数や一穂籾数が多く,倒伏しなかったことから登熟歩合も維持され,収量は8~10%多かった.また,代かき区に比べ,無代かき区の玄米蛋白質含有率は低く,良質粒率は高くなる傾向がみられた.水稲作付け後の作土層においては,無代かきにより液相率や固相率が低下する一方で,気相率が高まった。また,無代かきにより重力水孔隙率(pF1.5),易有効水分孔隙率(pF3.0)が高まり,飽和透水係数も高い傾向がみられた.土壌の微生物活性に無代かきによる明瞭な影響は認められなかったが,無代かき区は代かき区に比べ,硝酸態窒素量が多くなる傾向がみられた.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前作水稲作付け時において無代かきの有無による影響を土壌へ処理することに成功した.具体的には,無代かきによる土壌微生物相への明瞭な影響は認められない一方で,無代かきにより土壌の窒素ポテンシャルが向上し,排水性も向上させることができた.このため,平成26年度は当初の予定通り、転換後のダイズの栽培試験を実施することができ,前作の無代かきによる畑地化効果の影響を明瞭に捉えられると確信している.
|
Strategy for Future Research Activity |
前作水稲作付け時における代かきの有無により土壌物理性・化学性が異なる作土層を形成することが出来た.今後は,耕起時の砕土率が異なることが予想される. そこで,今後の研究の推進方策としては,圃場レベルで無代かき後のダイズの増収メカニズムの解明に取り組むとともに,耕起後の土壌を場内に持ち帰り,根粒着生能(非着生・通常着生)の異なるダイズや他の畑作物を代かき後土壌と無代かき後土壌それぞれを充填したポット栽培試験に供試することで,無代かきによる土壌の畑地化効果が出芽・苗立や初期の発根,根の伸長,養分吸収,地上部の生育に及ぼす影響について,個体レベルで詳細に解析する予定である.
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
一部の土壌のサンプリングが昨年の大雪・低温に伴う融雪の遅れにより予定どおり実施できなかったため、その分析費用として計上した必要試薬類の差額分が次年度使用額として生じました。 ただ、平成26年4月において上記の土壌のサンプリングは実施出来ましたので、平成26年度に繰り越しとなった予算を必要経費として使用する予定でいます。 平成25年度に実施出来なかった土壌の分析に要する必要試薬類の経費として使用する予定です。
|