2013 Fiscal Year Research-status Report
イネの低投入型多収品種開発に向けた高窒素利用機構の解明
Project/Area Number |
25850014
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
荒井 裕見子 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 作物研究所稲研究領域, 主任研究員 (50547726)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | イネ / 窒素吸収 / 窒素利用効率 / 染色体置換系統群 |
Research Abstract |
低投入栽培下において生産性を向上させる為には、「根系からの窒素吸収能」と「窒素利用効率(吸収した窒素当たりの収量)」の向上が重要となる。そこで本年度は、日本型普通品種「コシヒカリ」と根系からの窒素吸収能や吸収した窒素の利用効率が高いと考えられるインド型多収品種「タカナリ」の正逆の染色体置換系統群CSSLs(コシヒカリ背景41系統、タカナリ背景39系統)を用いて、水田圃場で「根系からの窒素吸収能」と「窒素利用効率」を検討した。タカナリは、コシヒカリに比較して、収穫期乾物重、穂重、全窒素吸収量および全窒素吸収量当たりの穂窒素含有量が高かった。コシヒカリ、タカナリ背景系統群共に、不稔及び弱勢系統を除いて、収穫期の乾物重が大きいほど全窒素吸収量が大きくなる傾向があった。このことから吸収した窒素当たりの乾物生産量は、系統間差が小さいことが分かった。一方、コシヒカリ背景の全窒素吸収量と穂重が、コシヒカリよりそれぞれ高い傾向のある系統は、3系統だったが、全窒素吸収量と全窒素吸収量当たりの穂窒素含有量がそれぞれ高い傾向のある系統は無かった。一方、タカナリ背景の全窒素吸収量と穂重、全窒素吸収量と全窒素吸収量当たりの穂窒素含有量では、それぞれ、3系統、2系統で、これらが両方タカナリより高い傾向のある系統は、2系統だった。今後は、全ての系統の年次間差異と、選抜系統の領域を狭めた組換え固定系統について窒素吸収と窒素利用効率について検討する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、正逆の染色体置換系統群CSSLsの水田圃場実験を実行し、タカナリ及びコシヒカリ背景の系統群内で、窒素吸収量や窒素利用効率で有望と思われる数系統を選抜することが出来た。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度以降は、全ての系統の年次間差異と、選抜系統の領域を狭めた組換え固定系統について窒素吸収と窒素利用効率について検討する予定である。また、高い窒素吸収能や窒素利用効率を示す系統に関しては、これらを高める要因を、地上部の乾物生産能及び地下部の根系分布や根量の両面より明らかにする予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
採土器とその消耗品、また実験・調査用消耗品の一部の購入は、これらに関係する試験が次年度以降となったため、残額は次年度へ繰り越すことになった。また実験補助等の人件費についても、本格的な成分分析が次年度以降となったため、残額は次年度へ繰り越すことになった。 圃場試験を遂行するための資材、実験用試薬、実験・調査用消耗品、また水田で簡易的に根を採取する場合に、採土器とその消耗品を購入する。併せて、本課題における形質調査および実験等の補助を専属的に依頼できる研究補助者を雇用する予定である。
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