2016 Fiscal Year Research-status Report
花弁の色と質感を決定する花弁表皮細胞形態制御機構の解明
Project/Area Number |
25850021
|
Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
鳴海 貴子 香川大学, 農学部, 准教授 (30469829)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 花弁表皮細胞 / トレニア / 転写因子 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでの研究から、TfMYBML2およびTfMYBML3が花弁表皮細胞の形の制御に関与する転写因子であるが、それらが花弁表皮細胞の形の制御の関わる主因子ではないことが明らかになっている。そこで、本年度は新規の花弁表皮細胞関連転写因子の探索を行うため、野生型トレニアと花弁表皮細胞が変化しているTCP3-SRDX形質転換体トレニア由来のRNA-seqデータから、顕著な遺伝子発現量の差を示すTCP転写因子およびMYB転写因子とアノテーションされた配列を抽出した。TCP3-SRDX形質転換体と野生型の比較でfold changeが2倍以上の配列は、TCP転写因子が3個、MYB転写因子が19個、fold changeが0.5倍以下の配列は、TCP転写因子が9個、MYB転写因子が50個であった。TCP転写因子がMYB転写因子を制御している事が多いため、TCP転写因子に着目した。RNA-seq解析データを元にプライマーを設計し遺伝子単離を試みた結果、fold changeが3倍以上の配列由来の遺伝子が2種類(TfTCP7およびTfTCP10)、fold changeが0.2倍の配列由来の遺伝子が1種類(TfTCP8)単離された。推定アミノ酸配列を解析したところ、いずれもTCP転写因子の保存領域を有し、TfTCP7およびTfTCP8はClass I TCPファミリーに特有のアミノ酸配列を、TfTCP10はClass II TCPファミリーのCINグループ特有のアミノ酸配列をコードしていた。Class II TCPファミリーのCINグループには、葉や花弁の表皮細胞の形態を制御する転写因子が属しているため、単離したTfTCP10は表皮細胞の形態制御に関わる転写因子であることが示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は新規の花弁表皮細胞関連転写因子の探索を行うため、野生型トレニアと花弁表皮細胞が変化しているTCP3-SRDX形質転換体トレニア由来のRNA-seqデータから、顕著な遺伝子発現量の差を示す転写因子を抽出し、遺伝子単離まで行うことができた。なお、計画では差次的遺伝子発現解析として、サブトラクション法やディファレンシャルディスプレイ法を当初は予定していたが、トレニアのRNA-seqデータが存在するため、そのデータを利用した。
|
Strategy for Future Research Activity |
単離した遺伝子のうち一種類が表皮細胞の形態に関わる転写因子の可能性が高いため、今後、遺伝子発現解析等を行う予定である。また、MYB転写因子にも着目し、野生型とTCP3-SRDX形質転換体で遺伝子発現量に差がある遺伝子を抽出し、遺伝子単離を進める予定である。
|
Causes of Carryover |
本年度は、研究の基礎を固めることに注力したため、研究の進捗としては概ね計画道理には進んでいるが、学会発表できるようなデータが得られなかった。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は、研究のみならず、学会発表や論文投稿を予定している。
|