2014 Fiscal Year Annual Research Report
時系列Dual RNA-Seq法によるイネといもち病菌の感染時相互作用の解析
Project/Area Number |
25850033
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Research Institution | National Institute of Agrobiological Sciences |
Principal Investigator |
川原 善浩 独立行政法人農業生物資源研究所, ゲノムインフォマティクスユニット, 主任研究員 (30546370)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 植物ー病原菌相互作用 / いもち病菌 / イネ / RNA-Seq / de novoゲノムアセンブル |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度にイルミナ社のMiSeqで解読したゲノムシーケンスデータを元にアセンブルした、いもち病菌株「P91-15B」のゲノム配列に対して、RNA-Seqデータを活用した遺伝子構造予測や機能情報等のアノテーションの付与を行った。イネについては日本晴リファレンスゲノムとコシヒカリのゲノムリシーケンスデータを利用し、コシヒカリのリファレンスゲノム配列と遺伝子構造情報の整備を行った。 抵抗性反応の異なる3系統(罹病性、真性抵抗性、圃場抵抗性)のイネにいもち病菌(P91-15B)を噴霧摂取し、感染後0, 24, 36, 48時間後の4つの感染ステージの葉を対象にしたRNA-Seq解析を行い、整備したコシヒカリとP91-15B菌株のゲノムとアノテーション情報を活用し、感染時系列遺伝子発現解析を行った。いくつかの主要な感染時応答遺伝子の発現プロファイルをイネといもち病菌の双方で調べたところ、イネ側の抵抗性反応の違いによって、遺伝子発現プロファイルが異なることがわかった。具体的には、真性抵抗性、圃場抵抗性、罹病性の順にイネの感染時応答遺伝子の発現上昇のタイミングが早いことが明らかになった。また、いもち病菌の感染時応答遺伝子については、RNA-Seqデータがイネに比べて少量しか得られず、解析の精度が低いため、発現のタイミングのズレを検出することは難しかった。しかし、罹病性と圃場抵抗性イネへの感染時のみ遺伝子発現が上昇し、真性抵抗性イネへの感染時には発現していない遺伝子が複数見られ、イネ側の抵抗性反応の違いによって、いもち病菌側の遺伝子発現プロファイルも異なることが明らかとなった。本研究を通して得られたコシヒカリゲノムやいもち病菌のゲノム配列や転写産物配列に対するBLAST検索、および遺伝子構造や発現情報などが閲覧可能なゲノムブラウザなどを備えたデータベースを構築した。
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