2014 Fiscal Year Research-status Report
半乾燥熱帯アフリカにおけるルーピンを用いた土壌難溶性リン利用技術の開発
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25850040
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
杉原 創 九州大学, 持続可能な社会のための決断科学センター, 助教 (30594238)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | リン / 難溶性リン / シロバナルーピン / 半乾燥熱帯アフリカ / 土壌肥沃度 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、昨年度タンザニア・ソコイネ農業大学内において実施した、ポット(4L)を用いたルーピン栽培試験により得られた、土壌試料および植物体試料の分析ならびに解析を主に実施した。また、ルーピンの難溶性リン可給化能を現地でよく利用されているマメ科作物と比較するために、新たに2種のマメ科作物(カオピーとピジョンピー)も、同様の方法で現地においてポット試験を実施し、土壌試料および植物体試料を採取し、必要な分析および解析を実施した。この結果、マメ科作物3種に共通して観測される特徴として、可給度が比較的高い画分の無機態リンを全てのマメ科作物が利用・吸収していることが判った一方で、ルーピンのみに観測された特徴として、可給度が比較的低い(難溶性リンに相当する)画分のリンが多く可給化されていることが判った。さらに、このルーピンにのみ観測された難溶性リン可給化能の特性は、粘土質土壌と砂質土壌の両方において観測された。このことは、土壌環境によらず、ルーピンが他のマメ科とは異なる形で難溶性リンを可給化・利用していることを示唆している。また、既存の研究では効果があるとされていた窒素施肥に伴うマメ科作物の難溶性リン可給化能の向上は、今回の試験では3種全てにおいて顕著な効果は観測されなかった。このことから、当該地域におけるマメ科作物の難溶性リン可給化能は、窒素ではない他の要因により律速されていることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画していた通り、現地の気候・土壌環境下でのルーピン栽培試験を達成し、現地のマメ科作物が持つリン可給化能とルーピンが持つリン可給可能を比較することができ、当該地域における難溶性リン可給化技術に必要な広範な知見を獲得することができた。加えて、同実験を、計画段階で予定していた1種類の土壌だけでなく、土壌条件が異なる、粘土質な土壌と砂質な土壌の2種類を用いて遂行することができたため、ルーピンを含むマメ科作物各種が持つ難溶性リン可給化能について、土壌環境が及ぼす影響も明らかにすることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題は現在のところ予定通り進んでいる。今年度はルーピンなどのマメ科作物残差を、有機資材として利用するための培養実験を行うとともに、これまでに得られた研究成果の公表を進める。
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Research Products
(2 results)