2014 Fiscal Year Annual Research Report
希少放線菌が形成する胞子嚢胞子の休眠と発芽の分子機構の解明
Project/Area Number |
25850046
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
手塚 武揚 東京大学, 農学生命科学研究科, 助教 (80646414)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 休眠 / 覚醒 / 発芽 / 希少放線菌 / 細胞応答 / 二成分制御系 / 胞子嚢 / マトリックス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、希少放線菌Actinoplanes missouriensisを材料として、本菌が形成する胞子嚢とその内部に形成される運動性胞子を解析することにより、微生物細胞が休眠耐久状態から覚醒し、発芽に至る分子機構の解明を目的とした。具体的には、外界からの刺激を感知して胞子嚢が開裂し運動性胞子が泳ぎ出す過程で鍵となることが判明している転写制御因子TcrAの機能解析、および胞子嚢内部の細胞間マトリックスに存在することが示唆されたタンパク質AMIS48270の性状解析の2点に焦点を当てて研究を進めた。TcrAについてはアセチルリン酸を用いたin vitroリン酸化によりDNA結合が促進されることが示された。また、サルモネラ菌を用いた過去の研究でべん毛遺伝子群の転写に関与すると報告されているシグマ因子FliAと相同性の高いタンパク質をコードする遺伝子が、A. missouriensisにおいてTcrAによって転写活性化されていることが、野生株とtcrA破壊株を用いたRNA-seq解析の結果から示唆された。tcrA破壊株はべん毛遺伝子群のほとんどすべての遺伝子の転写を活性化することが判明していたが、これはTcrAによる直接的な転写の活性化と、TcrAによるfliAの転写活性化を介した間接的な機構の両者によるものであった可能性が高いと考えられる。また、AMIS48270については大腸菌を宿主として発現させた不溶性タンパク質の界面活性剤による可溶化とリフォールディングにより組換えタンパク質を調製し、保水性をin vitroで試験したが顕著な保水活性は見られなかった。また、AMIS48270破壊株が形成する胞子嚢の熱耐性を野生株と比較したが顕著な差異は確認されなかったことから、本タンパク質に機能についてはさらに詳細な解析が必要である。
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