2014 Fiscal Year Research-status Report
DNAメチル化酵素の配列認識変換の機構解明とエピゲノム育種への応用
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25850049
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
矢野 大和 東京大学, 新領域創成科学研究科, 特任助教 (20646773)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | DNAメチル化 / エピジェネティクス / トランスクリプトーム |
Outline of Annual Research Achievements |
ピロリ菌標準株の DNAメチル化酵素遺伝子ノックアウト株のトランスクリプトームプロファイルを詳細に解析し、その結果 に基づいて幾つかのピロリ菌の形質を解析した。その結果、あるピロリ菌のDNAメチル化酵素はグローバルに遺伝子発現に影響を及ぼし、それがピロリ菌のストレス耐性に寄与していることを発見した。これは配列特異的DNAメチル化酵素の有無が微生物の環境適応に影響をあたることを示唆する重要な発見である(2015年ゲノム微生物学会発表)。一方、DNAメチル化が遺伝子発現への影響を与える仕組みはプロモーターのメチル化では説明できないものがほとんどであった。 大腸菌を用いて、DNAメチル化酵素の遺伝子水平伝播が細胞の形質に与える影響を解析した結果、あるDNAメチル化酵素は大腸菌の特定の培地条件での成長パターンに影響を与えることを発見した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ピロリ菌の培養や形質解析の手法を確立できたことが大きい。これまでに構築したノックアウト株の形質を網羅的に解析すれば、異なる形質に影響を与えるより多くのDNAメチル化酵素を同定できる可能性が有る。
大腸菌の形質操作に関しても大腸菌内でメチル化酵素の有無に反応して活性が変化するプロモーターを幾つか同定できたので、それらの解析からメチル化による転写制御の機構の詳細を解明できると考えている 。
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Strategy for Future Research Activity |
ピロリ菌におけるメチル化が果たす生物学的役割やその仕組みの解明は現在のトランスクリプトーム解析法と形質解析法をより多くのノックアウト株に当てはめることによって順調に進むと予想される。 これまでの研究結果から大腸菌の可動遺伝因子由来のメチル化酵素を大腸菌に導入することは大腸菌の生育に負の影響はもたらさないことが判明している。メチル化が影響をあたえる遺伝子やプロモーターが幾つか同定されてきているので、特定の環境条件で大腸菌の形質を解析することで、メチル化による大腸菌の環境適応を実現できると考えている。
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Causes of Carryover |
大腸菌メチル化酵素導入株やピロリ菌ノックアウト株のメチーローム解析、トランスクリプトーム解析がすべて完了していないためである。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究期間を延長し次年度に実験とデータ解析を行う予定である。
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Research Products
(6 results)