2013 Fiscal Year Research-status Report
磁性細菌の磁気微粒子合成に関わる新奇ヘム蛋白質の機能解明
Project/Area Number |
25850051
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
|
Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
田岡 東 金沢大学, 自然システム学系, 助教 (20401888)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 磁性 / 細菌 / へム蛋白質 / オルガネラ / 磁気微粒子 / イメージング |
Research Abstract |
本研究は、磁性細菌がもつナノサイズの磁鉄鉱結晶の生合成機構を明らかにするため、磁性細菌に特異的に保存される新奇のヘム蛋白質の機能解析を目的としている。本年度は、マグネトソーム内環境解析を目的とした生細胞イメージング法の改良を行った。MamC-GFP発現系に加え、MamI-GFP発現系を確立し、2つのマグネトソーム膜局在蛋白質を用いたマグネトソーム小胞の生細胞可視化技術を確立した。現在、これらの膜蛋白質とpH感受性蛍光蛋白質を用いて、マグネトソーム小胞内の環境イメージング技術の開発を行っている。一方、磁鉄鉱の生合成への関与が期待されているヘム蛋白質MamPを、大腸菌内で発現させヘム結合型のMamPを精製するとともに、その分光学的性質を調べた。その結果、MamPは、膜結合型シトクロムcであることを明らかにした。また、磁性細菌Magnetospirillum magneticum AMB-1細胞においても、MamPは膜画分に局在していることが分かった。さらに、MamPをAMB-1株においてプラスミド上から大量発現させ、その影響を調べたところ、MamP大量発現株では野生株と比較して、対数増殖期に細胞内の磁鉄鉱結晶の数が増加することがわかった。さらに、ヘム結合モチーフを変異させたMamP(C224A, C268A)を大量発現させると結晶数の増加が見られなくなった。また、小さな磁鉄鉱結晶(平均直径16nm)しか合成できなくなった。これらの結果から、MamPは対数増殖期において磁鉄鉱結晶の成長に必要であることが示唆された。さらに、結晶成長にはMamPへのヘムc結合が必須であることが示された。現在、これらの研究成果について論文投稿中である。さらに、MamE, P, T蛋白質複合体を生化学的に解析するため、大腸菌を用いてmamABオペロンの発現株を構築することにも成功している。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請書の「研究の目的」に記載した課題のうち、本年度までに「蛋白質の精製」のうちMamP, Tの精製が完了した。「生細胞イメージング法の改良」については、MamI発現系を構築が完了したもののpH感受性蛍光蛋白質の発現に成功しておらず、この点が計画よりも立ち後れている。一方、26年度以降に行う計画であった「生化学的特性の解析」を前倒して実施し成果を得た。さらに「MamE, P, T蛋白質複合体の解析」についても、これらの遺伝子を含むmamABオペロン発現系を構築する事に成功し、計画以上に研究が進展している。以上を総合して、おおむね順調に進展していると判断した。
|
Strategy for Future Research Activity |
「生細胞イメージング法の改良」について、蛍光蛋白質をコードする遺伝子の塩基配列(コドン)の最適化を行ないpH感受性蛍光蛋白質やRedox感受性蛍光蛋白質のマグネトソームでの発現を試みる。また、既に確立しているマグネトソームにおけるHalotag発現系を利用して、pH感受性halotagリガントを用いたpHイメージング技術も合わせて検討し、マグネトソーム内環境解析を試みる。「MamE, P, T蛋白質複合体の解析」については、本年度に構築した大腸菌におけるmamABオペロン発現系を用いて、大腸菌からのMamP蛋白質複合体の精製を行う。得られた精製蛋白質の酸化還元酵素活性、電子供与体と電子受容体の同定を行い、ヘム蛋白質としての特性を解析し、磁鉄鉱合成のためのヘム蛋白質の機能に迫る。
|