2015 Fiscal Year Research-status Report
エルゴチオネイン代謝酵素群の分子機能、立体構造および生理機能の解析
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25850052
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
村松 久司 高知大学, 教育研究部総合科学系生命環境医学部門, 准教授 (90437343)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | エルゴチオネイン / Burkholderia |
Outline of Annual Research Achievements |
エルゴチオネインは一部の細菌や真菌が生産する抗酸化能を持つアミノ酸類縁体であり、哺乳類や植物にも広く見出され、様々な生物におけるエルゴチオネインの生理機能や代謝様式が注目されている。 これまでの研究で、Burkholderia sp. HME13においてエルゴチオネインはチオールウロカニン酸に変換されることが明らかになっている。また、前年度の研究で、LC/MS解析によりチオールウロカニン酸は水付加反応を受けることが推定された。そこで今年度は、酵素反応生成物を調製、精製し、NMR解析に供したところ、チオールウロカニン酸は酵素反応により4-オキソ-2-チオールイミダゾール-5-プロピオン酸と決定されたことから、本酵素は新規酵素チオールウロカニン酸ヒドラターゼであることが確認された。 Burkholderia sp. HME13のエルゴチオナーゼ遺伝子とチオールウロカニン酸ヒドラターゼ遺伝子の近傍の塩基配列から、エルゴチオネイン代謝に関与すると推定されるタンパク質遺伝子が見出されたので、当該の酵素遺伝子のPCR増幅条件の検討を行ったが目的とするDNA断片の増幅はできなかった。遺伝子の塩基配列情報から、Burkholderia sp. HME13においてエルゴチオネインはグルタミン酸を経て代謝されていくことが予想された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
エルゴチオネイン分解経路の第3段階以降を触媒すると推定される酵素遺伝子のPCR増幅条件が確立できず、発現プラスミドの構築には至っていないため、機能解析、結晶化条件の検討、エルゴチオネイン分解経路のin vitro再構成実験は実施できなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
本課題ではBurkholderia sp. HME13のエルゴチオネイン分解に関わる酵素群の研究を重点的に推進し、特にこれまで報告されていない、エルゴチオネイン分解経路の第3段階以降を触媒する酵素の取得と機能解析、エルゴチオネイン分解関連遺伝子群の制御遺伝子の同定に注力する。本研究により、これまでわかっていなかったエルゴチオネイン分解経路の全貌を理解できるものと考えている。
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