2013 Fiscal Year Research-status Report
アミノラクタム代謝酵素群の機能解析と光学活性アミノ酸合成への展開
Project/Area Number |
25850053
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Toyama Prefectural University |
Principal Investigator |
冨宿 賢一 富山県立大学, 工学部, 助教 (70392090)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 微生物変換 / α-アミノラクタム / 立体選択的反応 / 加水分解 / 光学活性物質 |
Research Abstract |
α-アミノラクタムは、α-位にアミノ基を有し、カルボキシ基と末端アミノ基が脱水縮合により閉環した化合物である。その中でも特に、七員環のα-アミノ-ε-カプロラクタム(ACL)はリジンの閉環により生成し、多くの天然物の部分構造として存在する。アミノ酸誘導体としてのα-アミノラクタムの微生物代謝に興味を持ち、α-アミノラクタムに作用する微生物酵素群の探索と機能解析に取り組んだ。 α-アミノラクタムに作用する酵素群を探索するため、各地の土壌サンプルを用いα-アミノラクタムを単一の炭素源や窒素源とする集積培養を行った。集積培養により単離した微生物を液体培養後集菌し、静止菌体を用いてDL-ACLを基質とする加水分解反応を行った。一定時間後回収し、その反応性と立体選択性をHPLCにより評価した。優れた反応性と立体選択性を示す微生物を選抜し、その微生物変換の反応条件や、この反応を活かしたD-α-アミノラクタム類の調製を検討した。土壌サンプルの集積培養により単離した微生物から、ACLをD-立体選択的に加水分解する微生物を見出すことはできなかったが、L-立体選択的に加水分解する微生物を複数見出した。その中でもMesorhizobium sp. L88は特に高い立体選択性を示し、L-体のみを加水分解しD-体に対しては全く作用しなかった。この微生物の培養条件や微生物変換の反応条件を最適化した後基質特異性を評価し、各種のD-α-アミノラクタムを調製した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
α-アミノラクタムを資化する微生物を多数取得し、立体選択的な加水分解活性を示す微生物による光学活性体の調製に成功した。この他にも、興味深い酵素活性を示す微生物群も取得することができており、研究は順調に進展していると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
α-アミノラクタムを単一窒素源とする培地で土壌サンプルを集積培養すると、α-アミノラクタムやα-アミノ酸アミドに作用するラセミ化活性を複数の微生物から見出すことができている。これら微生物の無細胞抽出液を用いた酵素反応の基質濃度や温度、pHなどの反応条件を精査し、良好な酵素活性を示す微生物を選抜し同定する。併せて微生物から酵素を精製し、酵素化学的諸性質を明らかにする。一方、アリルエステルのクライゼン転位と閉環オレフィンメタセシスを鍵反応とするα-アミノラクタムの合成経路は、安価なグリシンから出発し、共通の合成中間体を実験室レベルで数~数十グラムのスケールで合成可能である。この合成経路の反応条件、特に、現時点で低~中程度の収率に留まっている閉環オレフィンメタセシス以降の各段階をより詳細に検討し、10員環以上の大員環α-アミノラクタムの合成を達成する。これらの研究を統合的に用い、ダイナミックな光学分割による光学活性なアミノ酸の合成へと展開する
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Research Products
(4 results)