2013 Fiscal Year Research-status Report
合成生物学的手法による植物ホルモンの糸状菌生産系の構築
Project/Area Number |
25850063
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
加藤 直樹 独立行政法人理化学研究所, 環境資源科学研究センター, 研究員 (90442946)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 糸状菌 / 物質生産 / 生合成経路 |
Research Abstract |
環境や資源といった問題に対して微生物を利用してどう取り組むか、これが昨今我々に突きつけられている課題であり、それに対する回答の一つが、バイオマス等の再生可能な資源を有用な化学物質に変換する微生物プラットフォームの開発である。合成生物学的手法による有用物質生産には、主に大腸菌や酵母といった汎用微生物宿主が用いられる。しかしながら、それらの宿主では発現困難な遺伝子があり、生産可能な天然物には限りがある。よって本研究では、それらに代わりうる合成生物学研究用の糸状菌宿主の開発と、それを利用した植物ホルモン等の有用天然物生産系の構築を目的とした。 本年度は生合成遺伝子のクローン化として、糸状菌由来のアブシジン酸生合成酵素遺伝子、同じく糸状菌由来のb-カロテン生合成酵素遺伝子をクローン化した。また、ブラシノライドやボツリオコッセン生合成に関わる、植物由来の生合成遺伝子の取得を行った。それに加え、プロモーター、ターミネーター配列といった制御配列を含むDNA断片や複数の選択マーカー遺伝子など、糸状菌宿主における人工生合成経路構築に必要なDNA配列のクローン化を行った。以上の酵素遺伝子と制御領域を組み合わせ糸状菌宿主に導入し、生合成経路の再構築を行う。まずは、代替ディーゼルとして期待される微細藻類由来のテルペン化合物であるボツリオコッセンを対象に、本手法の有効性の検証を行う。糸状菌宿主の改良では、計画に挙げたようなゲノム情報に基づく合理的な分子育種ではなく、変異株スクリーニングを行うことでテルペノイド高生産株の取得を試みることとした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
生合成遺伝子、ならびにプロモーターやターミネーター配列、選択マーカー遺伝子等、人工生合成経路構築に必要なDNA配列のクローン化は完了したが、それらDNA断片の糸状菌宿主への導入と機能評価には至っていない。また、糸状菌宿主の改良では十分な成果が得られていない。以上より「やや遅れている」とした。
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Strategy for Future Research Activity |
本課題の手法の有効性の実証に重点を置くこととし、生産系構築の対象とする天然物を、ストリゴラクトンやブラシノライド等といった生合成経路に不明な点が残る植物ホルモンから、糸状菌由来の遺伝子が利用可能なアブシジン酸に変更することとした。また、生合成経路を構成する遺伝子がより少ない、微細藻類由来のテルペン化合物であるボツリオコッセンを糸状菌生産系実証の対象に加える。糸状菌宿主の改良については、生産強化に関わる新規知見を得ることを目的に、変異株スクリーニングによるテルペノイド高生産株の取得とその解析に変更する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
糸状菌宿主にコドンを最適化した人工遺伝子合成にかかる費用を見込んでいたが、研究計画の遅れにより、それに相当する費用が未使用となった。 繰り越しした予算については、次年度において人工遺伝子合成等に使用する予定である。H26年度分の研究費については計画の通り、試薬および実験器具の購入や、学会参加費、学術雑誌への投稿経費に使用する。
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