2014 Fiscal Year Annual Research Report
副生グリセリン利用を指向したキラル酸化バイオプロセスの高度化と応用
Project/Area Number |
25850064
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
佐藤 俊 独立行政法人産業技術総合研究所, 環境化学技術研究部門, 主任研究員 (10586605)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | グリセリン酸 / グリセリン / メタノール / 酢酸菌 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、バイオディーゼル燃料製造過程で排出される副生グリセリンの有効利用のため、メタノール等の不純物を含む副生グリセリンを直接原料とするD-グリセリン酸生産のための技術開発、および得られたグリセリン酸の誘導体化による高機能材料の創出を目的とする。 前年度までの研究で、メタノール資化能を有するアシドモナス菌は、グリセリンからグリセリン酸を生産可能であり、グリセリン単独の条件と比べて、グリセリンとメタノールが共存する条件においてグリセリン酸の生産性が向上する現象を見出した。そこで今年度は、メタノール共存下でのグリセリン酸生産条件の検討を進め、バッチ培養で10 g/L以上のグリセリン酸を生産する条件を見出した。また、さらなる生産性向上のため、メタノール代謝関連酵素およびグリセリン酸生産酵素遺伝子を、グリセリン酸高生産株であるグルコノバクター菌に組み換えるための検討を進めた。今後、流加培養やジャーファメンターでの培養等も組合せてバイオプロセス改良を進めることで、副生グリセリンからのグリセリン酸高生産プロセスの開発が期待される。 グリセリン酸の誘導体化による高機能材料の創出では、グリセリン酸骨格を活用した両親媒性分子の合成を前年度までに試みた。今年度は、合成したグリセリン酸の機能評価を進めた結果、疎水鎖を導入した化合物は両親媒性を示し、市販の界面活性剤と同等以上の界面物性を示す機能性素材となり得ることが分かった。また、合成した化合物の高分子材料への応用も試みたものの高分子量体が得られず、さらなる合成条件等の検討が必要であることが分かった。
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