2014 Fiscal Year Annual Research Report
疾患を誘発する炎症反応のHDL形成による制御機構の解析
Project/Area Number |
25850070
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
長尾 耕治郎 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (40587325)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | コレステロール |
Outline of Annual Research Achievements |
ABCA1はコレステロールとリン脂質を血液中のapolipoprotein A-I(apoA-I)に受け渡すことで高密度リポタンパク質(HDL)を形成する。また、細胞内に過剰蓄積したコレステロールは炎症反応を亢進するため、HDL形成によりこれらのコレステロールを除去することで、炎症反応を抑制することができると考えられる。そこで、本研究では細胞内でのHDL形成を可視化する方法を開発することで、炎症反応の制御に関わるHDL形成機構の解明を目指した。本研究ではapoA-Iの周辺環境がHDL粒子へ組み込まれることで親水性から疎水性へと変化することに着目し、このapoA-Iの環境変化を環境感受性プローブPOLARICで検出することを試みた。ApoA-Iの53番目に導入したシステイン残基をPOLARIC-maleimideにより標識することでapoA-I-POLARICを作成した。ABCA1発現細胞とapoA-I-POLARICを培養すると、培養液の蛍光強度が約70%増加した。一方、ABCA1を発現していない細胞では蛍光強度は増加しなかった。ApoA-I-POLARICにより形成されたHDL粒子のゲル濾過クロマトグラフィーによる解析から、apoA-I-POLARICの蛍光強度の変化は、細胞外に放出されたコレステロールの量ではなく、HDL粒子に組み込まれたapoA-Iの量を表すことが示された。また、炎症反応に関わるヒトマクロファージ細胞株によるHDL形成を本方法により評価することができた。さらに、apoA-I-POLARICとインキュベートしたABCA1発現細胞を共焦点顕微鏡観察することで、HDL形成の可視化が可能であることが示唆された。今後、本方法を応用することで、細胞内でのHDL形成と炎症反応の連関のさらなる解明が期待される。
|