2013 Fiscal Year Research-status Report
クリックケミストリーを応用した無細胞翻訳系によるタンパク質脂質修飾系の構築
Project/Area Number |
25850071
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
|
Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
泉 厚志 愛媛大学, ベ ンチャー・ ビジネス・ラボラ トリー, 研究員 (80637562)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 膜タンパク質 / 翻訳後修飾 |
Research Abstract |
真核生物のタンパク質にとって、翻訳後の脂質修飾は生体膜との親和性獲得やその機能発現に重要である。しかし、一般的な組換えタンパク質生産系においては、タンパク質翻訳後修飾の制御は困難である。本研究の協力研究者である戸澤譲教授らは、タンパク質生産系であるコムギ無細胞翻訳系を利用した合成タンパク質の効率的なN-ミリストイル化システムの構築に成功している。しかし、現在のところ無細胞翻訳系を利用するタンパク質S-パルミトイル化修飾については実現していない。そこで本研究では、制御可能なタンパク質の脂質修飾を可能とするため、非天然のアミノ酸をタンパク質へ特異的に導入する系と、銅(I)を触媒とした環状結合反応(クリックケミストリー)を利用し、部位特異的なアミノ酸脂質修飾を可能とする実験系の構築を進める。本研究技術の実現に向けて、本研究では天然で脂質修飾される2つのタンパク質、MARCKS とロドプシンをモデルタンパク質とする。 25年度には、研究目的に間接的に関連する重要な事象を確認することができた。脂質二重膜を無細胞翻訳系に添加することにより合成された膜輸送タンパク質が、高い再構成効率を示すことは共同研究者により明らかにされていた。これに加えて、膜貫通領域を有するイオンチャネルタンパク質や、フェロキラターゼのような膜貫通領域を持たない膜結合型タンパク質についても、タンパク質のフォールディングが著しく促進され、機能型のタンパク質として調製できることを確認できた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成25年度は、平成24年度から継続していた研究であるタンパク質の構造解析研究が論文投稿間近であったため、本研究の進捗がやや遅れている。一方、25年度には、研究目的に間接的に関連する重要な事象を確認することができた。脂質二重膜(リポソーム)の添加条件により無細胞翻訳系で合成する膜輸送タンパク質が、高い再構成効率を示すことは共同研究者により明らかにされていた。これに加えて、膜貫通領域を有するイオンチャネルタンパク質や、フェロキラターゼのような膜貫通領域を持たない膜結合型タンパク質についても、タンパク質フォールディングが著しく促進され、機能型のタンパク質を調製できることが確認できた。
|
Strategy for Future Research Activity |
本研究の着想は、無細胞タンパク質翻訳系において、①機能型のタンパク質を調製すること、②そのタンパク質を用いて生化学解析をするための基盤を形成することに由来する。そこで、平成26年度は、25年度に進捗した脂質膜添加による機能型の膜タンパク質(または膜結合タンパク質)の調製法の確立と機能解析を行っていきたい。また、クリックケミストリーの技術をタンパク質の機能解析に生かす研究においては、酵素反応でアミノ酸修飾の可能なホルミルグルシン合成酵素を利用することで、GPCRや膜結合タンパク質の脂質修飾研究を行っていきたい。
|