2013 Fiscal Year Research-status Report
生合成仮説に基づいた天然ナフトキノン二量体の合成と構造の確定
Project/Area Number |
25850083
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Kyoto Prefectural University |
Principal Investigator |
倉持 幸司 京都府立大学, 生命環境科学研究科(系), 准教授 (90408708)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 全合成 / 天然物 / 生合成模倣 / 絶対立体配置 |
Research Abstract |
Juglorubin は Streptomyces sp. より単離された赤色イオン性有機色素である。この化合物の構造はX線結晶構造解析により決定されているが、その絶対立体配置は決定されていない。Juglorubin は、同菌より同じく単離された天然物 juglomycin C から juglocombin A を経由して生合成されると考えられている。本研究は、この生合成仮説に基づき天然物 juglorubin 類の全合成を達成し、未決定である絶対立体配置を決定することを目標としている。 これまでの研究で、キラルスルホキシドを用いた不斉アルドール反応を鍵反応に用いて、天然物 juglomycin Cの不斉全合成を達成した。さらに juglomycin C 誘導体を酸素雰囲気下、ジアザビシクロウンデセン(DBU)で反応させたところ、生合成経路と同様な環化二量化反応が進行し、合成中間体となるキノン二量体を合成することに成功した。本年度の研究でjuglocombin Aやjuglorubin のすべての炭素骨格を構築することができ、後は官能基変換を行うことで juglocombin A さらにはjuglorubinを合成することが可能である。次年度には合成中間体からjuglocombin Aとjuglorubinへのこの官能基変換を検討する。 なお、天然物 juglomycin Cの合成過程で、保護基を変更することで類似天然物であるNHABの全合成も達成した。合成品の旋光度と文献値を比較することにより、juglomycin CとNHABの絶対立体配置はSであることを確定した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
天然物 juglomycin Cの不斉全合成を達成し、絶対立体配置を確定した。またjuglomycin C誘導体が、生合成経路と同様の経路で二量化することを見出した。この二量化反応により、juglocombin Aやjuglorubin のすべての炭素骨格を構築することに成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
研究は計画通りに進行しており、今後も研究計画に従い研究を遂行する。目標達成までに官能基変換を残すのみであり、次年度にそれらに焦点を絞り検討を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究が予想以上に円滑に進行したため、実際に支出した物品費の額が計上額を下回ったため。 次年度の研究が本研究課題の大きな山場であるため、当初の計上額以上の経費が必要になることも考えられる。研究目標を達成するために、本年度の繰越額を保護基の検討や官能基変換などに要する試薬・溶媒などの購入費に充てる。
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[Journal Article] Dimerization Reactions of 2-Bromo-3,5,6-trimethyl-1,4-benzoquinone2013
Author(s)
Shuhei Azuma, Motohiro Ota, Akito Ishida, Katsuhiro Isozaki, Hikaru Takaya, Masaharu Nakamura, Takahiro Sasamori, Norihiro Tokitoh, Kouji Kuramochi, Kazunori Tsubaki
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Journal Title
Chemistry Letters
Volume: 42
Pages: 1531-1533
DOI
Peer Reviewed
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