2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25850090
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
松田 友和 神戸大学, 医学(系)研究科(研究院), 研究員 (20570344)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 膵β細胞量 / カルノシン |
Research Abstract |
膵β細胞特異的C/EBPβトランスジェニックマウス(TG)に対するカルノシンの効果を検討した。4週齢から24週齢までの体重の推移は、カルノシン投与群と非投与群で優位な差はなかった。随時血糖値も、野生型マウスのカルノシン投与群と非投与群で有意な差はなかった。一方で、14週齢および16週齢においてTG群の随時血糖値は、カルノシン投与群は非投与群に比べ、有意に低下していた。随時インスリン値は、野生型、TGともに、カルノシンによる効果は明らかではなかった。しかし、TG群では血糖値が低い傾向があるため、血糖に対するインスリン分泌はカルノシン投与群で改善していると考えられた。16週齢のマウスに前日からカルノシン投与を中断して、OGTTを施行した。野生型では血糖値、インスリン値ともにカルノシンによる効果は明らかではなかった。しかし、TG群ではカルノシン投与群において、カルノシン非投与群と比較して、OGTTの60分、90分、120分で有意に血糖値が低下していた。インスリン反応はカルノシン投与群でカルノシン非投与群に対して、改善している傾向はあったが有意差はなかった。OGTTの際の初期インスリン分泌反応を15分後、30分後の血糖の変化に対するインスリン分泌の変化で評価した。TG群ではカルノシン投与によりインスリンの初期分泌能が改善している傾向があった。これが、OGTTにおける血糖値の60分以降の低下をもたらしていると考えられた。16週齢における膵β細胞量を評価したところ、野生型ではカルノシンの効果は認めなかった。TGマウスでは野生型と比較して、膵β細胞量は著明に低下していたが、カルノシン投与により有意に増加していた。カルノシンはインスリン分泌には影響を及ぼさないことが報告されており、この膵β細胞量の増加がTG群における血糖値の改善をもたらしていると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
膵β細胞量減少型の耐糖能異常モデルマウスであると考えている膵β細胞特異的C/EBPβトランスジェニックマウスに対して、カルノシンを飲水投与し、耐糖能や膵β細胞量に対する影響を検討した。随時血糖、インスリン、OGTT、膵β細胞量などの表現型の解析は、予定通り進行しており、カルノシンが膵β細胞量に対して、保護的に作用するという結果を得ることができた。現在、カルノシンの膵β細胞量に対する効果が直接的なものであるのか、間接的なものであるのかをマウスの膵島を単離して、評価を行っている。この評価を25年度中に終わらせる予定であったが、はっきりとした結果が未だ得られていない。
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Strategy for Future Research Activity |
カルノシンを経口摂取した場合に、各臓器でアミノ酸のプロファイルがどのように変化するのかを調べることが重要であると考えている。そこで、膵島、視床下部、肝臓、血漿、筋肉のそれぞれの組織において、メタボローム解析を予定している。また、カルノシンを投与したマウスの膵島のサンプルを蛋白レベル、転写レベルで解析し、カルノシン投与による細胞内シグナルの変化を評価していく予定である
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
カルノシンを投与したマウスの各組織(視床下部、肝臓、膵島、血漿、筋肉)サンプルを用いたメタボローム解析を予定していたが、未実施であったため、次年度使用額が生じた。 もともと予定していた研究に加えて、前年度に予定していたメタボローム解析を実施する予定である。
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