2015 Fiscal Year Research-status Report
農水産物中のダイオキシン類の生物学的測定法の開発とその適用
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25850091
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
福田 伊津子 神戸大学, (連合)農学研究科(研究院), 助教 (50418943)
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Project Period (FY) |
2014-02-01 – 2018-03-31
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Keywords | 生物学的測定法 / ダイオキシン類 |
Outline of Annual Research Achievements |
ダイオキシン類を検出する従来法であるゲルシフトアッセイにより、32Pラベルしたダイオキシン応答配列(DRE)を用いて動物の肝臓より調製した細胞質画分のアリール炭化水素受容体(AhR)活性化を検出した結果、C57BL/6マウス由来細胞質画分ではダイオキシン応答が見られなかったのに対して、SDラット由来細胞質画分では濃度依存的なAhR活性化を検出できた。C57BL/6マウスAhRは、過去の文献よりダイオキシン応答性が高いことが報告されているため、夾雑物が多い肝臓細胞質画分ではなくタンパク質発現系由来であればダイオキシン応答性が高まることが期待できる。ダイオキシン類の簡易測定法ELISAの改良法として、AhRとそのパートナータンパク質であるARNTをラット肝臓細胞質画分由来ではなく、昆虫細胞を用いて発現させたマウスAhRおよびARNTに変更するため、これらのタンパク質のクローニングを行った。これまでの予備試験結果から、AhRはNiに非特異的に吸着することが示唆されたため、AhRおよびARNTへの標識は標識として汎用性が高いHisではなくFLAGが有効ではないかと考え、最終ベクターをpPolh-FLAG™-2 Transfer Vector (Sigma)と決定し、インサート部分の構築を行った。現在、マウスAhRおよびマウスARNTの両端に制限酵素を付した目的インサートをTAクローニングベクターに挿入し、シークエンス解析を行う段階にあり、未だ昆虫細胞発現系は構築できていない。また、改良ELISA法に使用する抗体については、ゲルシフトアッセイでダイオキシン応答性が確認できたラット肝臓細胞質画分を用いて検討中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
研究環境の変化に伴い研究協力が得られなかったことが大きな要因であるが、今年度行う予定だった公定法との比較については、水産物中のダイオキシン類を公定法で測定する機関候補が少なく、予算と分析時間の調整ができなかったことが挙げられる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度は11月に育児休業より復職予定であるので、復職後は研究期間を半年から一年間延長し、本研究課題の遂行に努める。特に、喫緊の課題であるマウスAhRおよびARNTのクローニングと、公定法での分析を同時期に進めることで、研究遂行の効率化を図る。
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