2013 Fiscal Year Research-status Report
肥満改善効果を有する新規脂肪分解促進因子AIMを標的とする食品成分の探索
Project/Area Number |
25850092
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
細谷 孝博 静岡県立大学, 食品栄養科学部, 助教 (30506572)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 抗肥満活性 / AIM / 食品機能 / スクリーニング |
Research Abstract |
肥満は、現代の代表的な生活習慣病の一つであり、今後も増加することは確実で、非常に重要な疾患である。また、“肥満であること” は、様々な疾病を引き起こす危険性が高まるため、“肥満を予防すること” や “肥満を改善すること” は、種々疾病の予防医学の観点からも重要である。 近年の研究において、AIM(Apoptosis Inhibitor of Macrophage)が脂肪細胞に貯まった脂肪滴を融解し、脂肪細胞の大きさが著しく縮小することが報告された。これは、今まで研究されてきた標的とは全く異なり、新たな標的として、肥満改善作用を示す。本研究では、このAIMの発現を増強し、脂肪を融解するこれまでにない成分を天然食品資源より探索することが目的である。 平成25年度は、AIMの発現を増強する天然食品資源を探索するための細胞を用いたアッセイ系の開発と天然資源ライブラリーの構築を行った。アッセイ系は、複数のサンプルを行うためのスクリーニング系として、96穴プレートフォーマットでの検討を行った。細胞は、マウスマクロファージ由来細胞(J774.1)を用いることとし、AIMの発現をRT-PCRで確認することとした。すなわち、AIMの検出に必要な細胞数や培養時間、RT-PCR用プローブの作製等を行い、96穴プレートフォーマットでのスクリーニングを行える条件を開発した。天然資源ライブラリーは、野菜や果実を含む食材、生薬、沖縄に自生する植物を収集し、ライブラリー化を行った。スクリーニング用試料として、メタノール抽出した抽出物を一定濃度のそろえ、スクリーニングサンプルとした。いくつかについてアッセイ系に供したが、これまでに強力にAIMの発現を増強するサンプルは見出せていないが、引き続きスクリーニングを行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請書では、平成25年度において、AIM(apoptosis inhibitor of macrophage)を標的としたアッセイ系の開発、天然資源ライブラリーの構築、およびスクリーニングを行うことを予定していた。アッセイ系については、AIMの発現量をマウスマクロファージ由来細胞(J774.1)を用いて確認する手法を確立し、また、天然資源ライブラリーでは、食品(野菜や果実等)、生薬、天然資源(特に沖縄に自生する植物)を収集し、研究室独自のライブラリー化を行った。各サンプルは、メタノールで成分の抽出を行い、一定濃度のスクリーニング用ストックを作成した。これら構築したアッセイ系および天然資源ライブラリーを用いて、一部スクリーニングを行ったが、現在のところ、AIMの発現を強力に増加させるサンプルを見出せていないが、当初の予定は概ね進展したと判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度の研究において、マウスマクロファージ由来細胞(J774.1)を用いたアッセイ系の開発および天然資源ライブラリーの構築を行った。平成26年度も引き続き、本アッセイ系と天然資源ライブラリーを用いてスクリーニングを行う。また、天然資源ライブラリーの拡充も随時行っていく。 ライブラリーのスクリーニングにおいて、 AIMの発現量増加を示したサンプルの活性を指標とした分離、活性成分の単離・構造決定を行う。また、構造活性相関による知見を得るため、多波長検出(Photodiode Array : PDA)によるHPLC分析により、活性を示さない画分でも、同じ骨格を有する化合物の単離も行う。 得られた活性化合物の生化学的手法による作用機序の解明として、単離した活性化合物が、AIMの発現を増やすか否 かを、real time PCRおよびWestern blotting法を用いて確認を行う。また、活性化合物が実際に脂肪滴を減らすを、マウス脂肪前駆細胞3T3-L1細胞を用いて、Oil Red O(脂肪滴発色試薬)による観察で確認する。しかし、3T3 -L1細胞は、AIMを発現していないため、マクロファージ由来細胞J774.1と共培養することで、その作用を確かめる。3T3-L1細胞とJ774.1細胞の共培養条件は定まっていないため、これに関する条件検討も行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
物品費において約130,000円、旅費において約20,000円、その他経費において約30,000円程度が残った。使用額の差の主である物品費については、初年度予定していたスクリーニングを完了することが出来ず、スクリーニング等に用いる試薬の分が余った。 物品費については、スクリーニングが初年では完了していないため、次年度で試薬として使用する予定である。
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