2014 Fiscal Year Research-status Report
電子スピン共鳴装置を利用した細菌の抗生物質耐性の解析
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25850096
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
根井 大介 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 食品総合研究所食品工学研究領域, 主任研究員 (70466001)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 抗生物質耐性 / ESR / スピントラッピング |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度については、抗生物質耐性菌におけるフリーラジカル挙動を検討した。グラム陰性菌の大腸菌およびグラム陽性菌の黄色ブドウ球菌のそれぞれに関して、カナマイシン(細胞壁合成阻害剤)およびアンピシリン(タンパク質合成阻害剤)に耐性を有した突然変異株を作成した。作成した抗生物質耐性菌について、TSA培地を使用して37 ℃で24時間培養した後、リン酸緩衝生理食塩水に懸濁し、これに25 μg/mLの濃度になるようにカナマイシンまたはアンピシリンを添加した。これらを37 ℃で2時間静置した後、適量のメナジオンおよびスピントラッピング剤としてCYPMPO(5-(2,2-dimethyl-1,3-propoxy cyclophosphoryl)-5-methyl-1- pyrroline N-oxide)を20 mMの濃度になるように加え、10分間反応させた。また、アンピシリンおよびカナマイシンに感受性をもつ菌株についても同様の操作を行った。このようにして得た溶液について、ESRスペクトルの測定を行った。測定条件は前年度と同様であり、ESR分光器にはEMX-plus(ブルカーバイオスピン株式会社)を使用し、中心磁場3,524 G、測定磁場範囲200 G、マイクロ波強度6 mWで測定を実施した。その結果、大腸菌および黄色ブドウ球のいずれについても、これらの抗生物質に耐性を有する場合には、感受性をもつ場合と比較して酸素系のフリーラジカルに由来するピークが強く観測される現象が観測された。この結果から、ESRスペクトルのピーク強度から抗生物質耐性の有無を判別できる可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでに、細菌懸濁液を分析するためのESR測定条件を明らかにし、その条件に基づいて大腸菌および黄色ブドウ球菌のESRスペクトルを測定した。その結果、抗生物質耐性を有する場合には、酸素系ラジカルに起因するピークが強く出現することを観測し、ESRスペクトルから抗生物質耐性を判別できる可能性を示した。これらの結果は、おおむね当初の計画通りであり、順調に研究計画を進めているものと判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度では当初の計画通り、フリーラジカル挙動をインジケーターとして抗生物質耐性を有するか否かを判別する技術の開発を試みる。前年度までに、アンピシリンおよびカナマイシンが細大腸菌および黄色ブドウ球菌に作用した際のフリーラジカル挙動を検討した結果、これらの抗生物質に耐性をもつ細菌では酸素系のラジカルに由来するESR信号が強く観測されることを観測した。これを逆に利用して、細菌の抗生物質耐性は調べる開発を目的とする。前年度までに使用した抗生物質以外のものを試験対象に加えて、判別可否を調べる。具体的には、リファンピシンおよびテトラサイクリンを試験する。あらかじめ、抗生物質に感受性をもつ細菌と耐性を有する細菌を用意し、対象の抗生物質を作用させ、その後のESRスペクトル情報からフリーラジカル種の挙動を評価することにより、抗生物質耐性の迅速判別が可能であるか否かを検討する。また、ESRの使用のみならず、簡易な発行測定等を利用した迅速判別法の可能性を探索する。
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Causes of Carryover |
当所の見通しよりも実験等を効率的に進めることができたため、試薬・消耗品にかかる支出が予定よりも少なくなったため、次年度使用額が発生した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
抗生物質の試験対象範囲を拡げるにあたり、スピントラッピング剤などの試薬・消耗品が大量に必要となるため、それらの経費とする。また、研究成果の情報発信等を積極的に行うため、校閲費・旅費等に使用する。
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