2013 Fiscal Year Research-status Report
フロロタンニンを主とした低利用食用褐藻成分の抗アレルギーに関する食品機能性研究
Project/Area Number |
25850099
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | National Fisheries University |
Principal Investigator |
杉浦 義正 独立行政法人水産大学校, その他部局等, 講師 (60608107)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 低利用食用褐藻類 / フロロタンニン / 抗アレルギー効果 / 抗炎症効果 / 食品機能 |
Research Abstract |
1.褐藻クロメ抽出物について、抗アレルギー効果を確認した。その結果、肥満細胞からのヒスタミン放出や炎症に関わる酵素活性を阻害した。また、マウス耳介浮腫による抗炎症効果の評価では、抽出液を耳介に塗布した場合だけでなく、経口投与した場合にも抗炎症効果が認められたので、クロメが抗アレルギー食品素材となりうる可能性が示唆された。(Food Agric. Immunol., in press) 2.フロロタンニン4種(eckol、8,8'-bieckol、phlorofucofuroeckol(PFF)-A、PFF-B)について、マウス耳介浮腫により抗炎症効果を評価したところ、有効性が認められた。本成果は、動物実験によるフロロタンニンの抗炎症効果を示した初めての知見である。(J. Funct. Foods, 5(4), 2019-2023, 2014) 3.褐藻サガラメの脂溶性画分に含まれる抗アレルギー物質の探索では、リポキシゲナーゼ活性阻害を指標に分離分画を進めたところ、クロロフォルム可溶性成分から3種単離できた。また、サガラメ脂溶性画分には、メタノール可溶性の有効成分も含まれていることが示唆された。 4.Caco-2細胞による腸管透過試験では、褐藻(クロメ、サガラメ、ツルアラメ)抽出物に含まれるポリフェノールが2~5%程度透過することが確認された。また、フロロタンニンのeckolおよび8,8'-bieckolでは、概ね20%程度の透過が確認され、8,8'-bieckolは透過するときに単量体のeckolに代謝されている可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度の計画案では、サガラメ脂溶性画分に含まれる有効成分の探索とCaco-2細胞を用いた腸管吸収モデル研究を予定していた。試験研究の結果、サガラメ脂溶性画分から、3種の有効成分を単離することができ、メタノール可溶性の有効成分の存在も突き止めることが出来た。また、低利用食用褐藻(クロメ、サガラメ、ツルアラメ)の抽出物成分やフロロタンニン(eckol、8,8'-bieckol)がCaco-2細胞を透過することなど、新規知見を得ることができた。 さらに、計画案以外にも褐藻クロメの抗アレルギー効果や、動物実験におけるフロロタンニン4種の有効性を証明し、論文化することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
1.サガラメ脂溶性画分から単離された3種有効成分について、構造解析を行う。また、メタノール可溶性成分の分離・分画、構造決定を行う。 2.フロロタンニンのCaco-2細胞透過のメカニズム(トランスポーターの関与等)について、生化学的手法にて解析する。 3.アレルゲンで免疫された実験動物(マウス等)にフロロタンニン濃縮物を経口投与し、フロロタンニンの免疫調節作用をPCRやELISA法などで評価する。 4.アレルギーモデル動物(花粉症マウス等)にフロロタンニン濃縮物を経口投与し、症状の改善を評価する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
動物実験(マウス)によってフロロタンニン濃縮物の免疫調節作用を評価しようとしたが、実行には至らず、使用予定であったELISAキットを購入しなかったため。 フロロタンニン濃縮物の免疫調節作用を評価するため、動物実験において、血清や脾臓中のサイトカイン量(IL-4やIFN-γ等)測定用のELISAキット購入予算とする。
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