2014 Fiscal Year Annual Research Report
光合成特性の解明を通じたカンボジアの森林蒸散の季節変動メカニズムの解明
Project/Area Number |
25850108
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
宮沢 良行 九州大学, 学内共同利用施設等, 研究員 (80467943)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 蒸散 / 外来種 / 在来種 / モンスーンアジア / 光合成 / モデル解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究を通じて、東南アジアインドシナ半島の中心に位置するカンボジアの社会林の主要樹種である、在来種2種および外来種2種の光合成に関する知識を収集することが出来た。これら樹種は、通常は蒸散速度および光合成速度などの個葉スケールの生理特性には大きな違いが見られないものの、気象イベントである湛水時および地下水位が低下した際に大きな違いが見られた。在来種の一種では地下水位の低下と共に蒸散速度が大きく低下したのに対して、外来種では湛水時に蒸散速度を低下させていた。一方、葉の生理特性である光合成能力には季節感で変化が見られないことが明らかとなり、比較的可塑性の高い特性である水利用効率の調整によって変化する気象条件での光合成生産の増加および通水器官の損傷の回避を行っていることが明らかとなった。 群落多層モデルを構築し、気象条件および光合成特性などの生理条件を入力値として計算された蒸散速度は、独立して実施された樹液流計測で実測された数値と、特定の条件を除いてほぼ一致した。モデルに入力する光合成特性のうち、水利用効率と光合成能力については、入力値を変えることで、日中および季節間の変化パターン、およびその数値に大きな違いを生み出すことが明らかとなり、モデル入力で使用した光合成などの生理特性の入力値は実際の数値と一致していることを示唆した。 乾季に蒸散速度を低下させた在来種については、乾燥による通水器官の損傷を受けたために蒸散速度が低下したという見方と、通水器官を安全な状態に保つために蒸散速度を低下させているという、正反対の考え方が出来る。本研究では、葉および通水器官へのストレスおよび損傷の程度の指標である葉の水ポテンシャルと植物の通水生の計測も実施したところ、在来種では過度の水ポテンシャルおよび通水生に低下は見られなかった。このため、蒸散速度の乾季の低下は意図的な蒸散調節だったと考えられる。
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Research Products
(3 results)