2014 Fiscal Year Annual Research Report
花粉化石のDNA多型に基づく最終氷期以降のスギの分布変遷の解明
Project/Area Number |
25850113
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Research Institution | Akita Prefectural University |
Principal Investigator |
長谷川 陽一 秋田県立大学, 付置研究所, 研究員 (30634034)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | スギ / 花粉化石 / 葉緑体DNA / マイクロサテライトマーカー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、東北地方の最終氷期の堆積物から採集したスギ花粉化石からDNAを増幅し、これを現生のスギ天然林集団のDNAと比較することで、東北地方日本海側のスギの起源を明らかにすることを試みた。日本海側に分布するウラスギは多雪地に適応して伏条更新をするなど、太平洋側に分布するオモテスギとは生態的特徴および遺伝的組成が異なることが知られている。しかしながら、その起源はどこなのか、またいつから現在の分布となったのかはよくわかっていない。 まず花粉化石からのDNA増幅に使用する葉緑体SSRマーカー17座の、現生スギ天然4集団における遺伝的多様性を明らかにした。その結果、葉緑体SSRマーカーの遺伝的多様性は十分に高く、花粉DNA分析に使えることが明らかになった。また、青森県八甲田山のスギ孤立林2集団から成木の葉と、隣接する湿地から堆積物を採集した。核SSRマーカー5座と葉緑体SSRマーカー17座を用いて成木のクローン識別を行ったところ、どちらの集団でも伏条更新によって生じた同一クローンに由来する幹が多数分布することが明らかになった。 採集した堆積物から花粉化石一粒ずつの採集を試みた。しかし、スギ花粉の直径は30μmと小さく、また、含まれるスギ花粉の量も少なかったため、スギ花粉化石一粒ずつを集めることはできなかった。次に、堆積物から市販のキットを用いてDNA抽出を試みたところ、抽出溶液にDNAが含まれていることが確認された。抽出したDNA溶液をテンプレートにスギに特異的な葉緑体SSRマーカーを用いてPCRを行ったところ、DNAの増幅は見られなかった。このことから、PCR反応が夾雑物等によって阻害されている場合を想定して、用いるPCRキットを変更してPCR効率を高めることと、微量のスギDNAが抽出されていないことを想定して、堆積物からのDNAの抽出方法を改良する必要があると考えられた。
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[Journal Article] Draft sequences of the radish (Raphanus sativus L.) genome.2014
Author(s)
Kitashiba H, Li F, Hirakawa H, Kawanabe T, Zou Z, Hasegawa Y, Tonosaki K, Shirasawa S, Fukushima A, Yokoi S, Takahata Y, Kakizaki T, Ishida M, Okamoto S, Sakamoto K, Shirasawa K, Tabata S, Nishio T.
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Journal Title
DNA Research
Volume: 21
Pages: 481-490
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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