2014 Fiscal Year Research-status Report
同位体トレーサーを用いた食物炭素起源の特定による土壌動物の機能多様性の評価
Project/Area Number |
25850115
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
藤井 佐織 横浜国立大学, 環境情報研究科(研究院), 研究員 (50648045)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 土壌動物 / トビムシ / 細根 / 根滲出物 / 同位体 / ラベリング |
Outline of Annual Research Achievements |
土壌生物群集は高い多様性を持ち、有機物分解と窒素無機化という森林生産の基盤となる重要な生態系機能を担う。しかし、種レベルの研究は非常に少なく、種を機能的に分類することができないために未だ機能的多様性の評価ができない状態にある。本研究の目的は、土壌生物の主要な機能形質である食性に着目し、種ごとの食物炭素源を明らかにすることで、土壌生物の機能的分類に取り組むことである。本来は押しなべて落葉由来の炭素を食物源としていると考えられてきたトビムシ目のうち、生きている植物の根から供給される滲出物に由来する炭素を植物源としている種を明らかにすることを具体的な目的としている。前年度に、圃場において13CO2トレーサーを用いたラベリング実験を行い、根滲出物を標識することで、それを体内に取り込むトビムシ種を調べた。本年度は、この前年度のデータを用い、種ごとの根滲出物取り込み速度の違いについて解析を行った。その結果、土壌下層に生息する種が滲出物依存ではないかと従来考えられてきたのに対し、生息する土壌層位の違いが食性と無関係であることが明らかとなった。加えて、本年度は、この圃場実験系における結果が野外生態系においても同様であるかどうかを調べるために、京都府の二次林において野外操作実験を行った。根滲出物を模したグルコース溶液とそのコントロールとしてのイオン交換水を、点滴法により土壌に20日間継続して滴下し、滴下地点に集合したトビムシ群集を回収した。回収されたトビムシ群集について、現在、顕微鏡下で同定作業を継続中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の計画にあった野外操作実験とラベリング実験結果の解析を予定通り遂行し、ラベリング実験の結果をもとに論文原稿作成も開始した。
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Strategy for Future Research Activity |
野外操作実験で得られたトビムシ群集の同定作業やそれに付随する土壌化学分析を進める。また圃場におけるラベリング実験の結果に関して論文投稿を行う。
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Causes of Carryover |
支払予定のあった国際学会旅費について、学会主催者側から旅費が支給されたため、必要なくなったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
英文校正や論文掲載料に使用する予定。
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