2013 Fiscal Year Research-status Report
ボールミル法により金属複合した木質バイオマスの炭素化における生成物の特性
Project/Area Number |
25850119
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Fukushima University |
Principal Investigator |
浅田 隆志 福島大学, 共生システム理工学類, 准教授 (60434453)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ボールミル処理 / 炭素化 / 金属複合 / 木質バイオマス / ガス化特性 / 炭素化物 |
Research Abstract |
二酸化チタンおよび酸化鉄(Fe2O3)を複合した木質バイオマスの炭素化におけるガス化効率および固体生成物表面特性への影響について検討した。 二酸化チタンおよび酸化鉄(Fe2O3)複合におけるボールミル処理と金属複合がガス化効率および固体生成物表面特性に与える影響を検討するために,様々な製造条件におけるボールミル処理により金属化合物を複合した木質バイオマスを炭素化し,影響を評価した。 二酸化チタンの複合炭素化において,ボールミル処理時間が速いとBET比表面積や細孔容積が低下する傾向が見られたが,チタンの化学形態には大きな変化はなかった。処理時間の増大により,炭素化物表面の破壊が大きくなり,BET比表面積や全細孔容積が減少し,また,SEM観察から処理時間の増大により二酸化チタン粒子の凝集による粒子径増大の傾向が見られた。炭素化温度について,炭素化温度の上昇によりBET比表面積や細孔容積,二酸化チタン含有量の増大が見られた。メチレンブルーの分解性能により評価した光触媒性能については,特に700℃炭素化時において光触媒性能が確認された。400℃炭素化時は細孔の発達が悪く,1000℃炭素化時は,二酸化チタンの結晶相が光触媒活性の小さいルチル型に転移したことが確認された。 鉄複合炭素化においては,ガス化効率に影響を与えた。Fe2O3を複合して1000℃で炭素化すると,水素と一酸化炭素の発生量が増加した。BET比表面積と全細孔容積は低下したが,メソ孔容積はわずかに増加し,これに伴い平均細孔径も増大した。電子顕微鏡で観察した結果,鉄化合物表面を移動したような跡が観察され,鉄の触媒効果によりガス化効率が増大し,細孔構造も変化したことが考えられた。粉末X線回折の結果,固体生成物にはFe, Fe3O4, Fe2O3のピークが確認され,炭素化中に発生した水素や一酸化炭素によって還元されたことが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は,ボールミル処理金属複合木質バイオマスの炭素化が,生成物に与える効果をガス化特性と炭素化物表面特性の両面から解明することを目的としている。平成25年度の計画では特に二酸化チタンを複合した木質バイオマスの炭素化のけるガス化効率および固体生成物表面特性への影響について検討することであった。 炭素化物表面特性については,ボールミル処理速度,処理時間,ボールサイズ,複合金属量,炭素化温度等について条件検討し,窒素ガス吸着による細孔特性評価,粉末X線回折による化学形態と結晶相評価,蛍光X線分析によるチタン含有量,走査型電子顕微鏡による表面特性評価等について処理条件と得られる炭素化物の表面特性の関係を評価し,多くの知見を得た。 二酸化チタン複合によるガス化特性の評価についてはあまり,進んでおらず当初計画から遅れているが,研究設備の使用状況から,代わりに平成27年度に実施を予定していた鉄化合物を用いたガス化効率の評価に関する実験を先に実施し,処理条件とガス化特性の関係について多くの知見を得ている。当初計画した順序とうりの実施ではないが,全体として概ね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の目的であるボールミル処理金属複合木質バイオマスの炭素化が,生成物に与える効果についてガス化特性と炭素化物表面特性の両面からの解明を当初の計画の実施順序を変えて進める。 当初計画では平成25年度に二酸化チタン,平成26年度にカルシウム化合物,平成27年度に鉄化合物について実験することを計画していたが,研究設備の使用状況から平成25年度に二酸化チタンの炭素化物表面特性評価,鉄化合物のガス化特性評価を実施したため,平成26年度は二酸化チタンのガス化特性評価,鉄化合物の炭素化物表面特性を実施し,平成27年度はカルシウム化合物について実施する計画に変更する。実施内容や項目等,研究全体としての変更はない。
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