2014 Fiscal Year Annual Research Report
心材形成誘導系を用いた樹木独自の細胞死発現機構の解明
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25850121
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
半 智史 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 助教 (40627709)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 心材形成 / 放射柔細胞 / 細胞死 / イメージング / アガサレジノール / 核 / デンプン粒 / 遺伝子発現解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、実験1:二次代謝を伴う細胞死誘導系を用いた放射柔細胞の細胞死過程の経時的変化の解析、および実験2:インタクトな放射柔細胞の細胞死過程の解析を行うことで、放射柔細胞の細胞死機構を理解する上で重要な変化の時間的・空間的情報を得ることを主目的としている。本年度では、人為的に放射柔細胞の細胞死を誘導する実験系を用いて、放射柔細胞の細胞死過程における細胞内容物の変化および二次代謝物質の量的変化を経時的に明らかにすることを目的とした。 スギ放射柔細胞を用いた二次代謝を伴う細胞死の誘導実験系を用いて、心材物質の一種であるアガサレジノール含有量の変化および放射柔細胞の細胞学的変化について同一試料を用いて評価した。その結果、誘導5日目から10日目にかけて、デンプン含有量が急激に減少するのに対して、アガサレジノール含有量は急激に増加していた。この結果から、誘導5日目から10日目の間には、放射柔細胞における一次代謝および二次代謝が活発に行われているといえる。さらに、透過電子顕微鏡による核の形態および内部構造変化について解析を行った結果、誘導15日目までは細胞質の電子密度が高くなる現象が認められたものの細胞死の前兆となるようなクロマチン凝集などの変化は認められず、誘導25日目において劇的な形態および内部構造の変化が認められた。したがって、自己分解の開始は誘導15-25日目の間に起こることが明らかになった。本研究においては、同一試料を用いた化学分析と細胞学的解析を経時的に行うことによって、二次代謝を伴う放射柔細胞の細胞死を誘導する本実験系における二次代謝および細胞死における重要な変化が起こるタイミングを明らかにできたといえる。
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Research Products
(13 results)