2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
25850134
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
細谷 将 東京大学, 農学生命科学研究科, 助教 (60526466)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 選抜育種 / トラフグ / ゲノミックセレクション |
Outline of Annual Research Achievements |
まず、トラフグのHeterobothrium okamotoiへの感受性/耐性に関する個体差についての解析結果を得た。野生トラフグの雄10個体と雌1個体を交配して得た半兄弟集団を同一水槽に収容して感染実験を2回行った。その結果、H. okamotoi感受性/耐性には家系差が存在すること、また、遺伝率は18%程度であることが分かった。 水産生物では、育種による品種作出が他の農畜産物に対して大幅に遅れている。本課題では、その遅れを一気に取り戻す方法として、RAD-seq法で取得したSNPマーカーを用いたゲノミックセレクションにより、天然親魚からの直接選抜することを提唱し、その可能性を検討した。その成果として、生残形質、成長形質、寄生虫耐性形質について、遺伝学的実験を行い、親魚の遺伝的影響を抽出するには至ったが、RAD-seq法によるゲノミックセレクションの適用は難しいことが示された。その最大の理由は、トラフグの野生個体の連鎖不平衡ブロックが極めて小さく、必要なSNP座が30万座以上と多いため、RAD-seq法ではカバーできないことにあった。この規模のSNPはDNAチップであれば解析可能であるが、現時点ではコスト面で現実的とは言えない。しかし、適切な遺伝学的実験を行えば、BLUP法による選抜が行えることが明らかになったことから、最初の数世代はSNPマーカーを用いないBLUP法で選抜し、連鎖不平衡ブロックが適度なサイズになったのちに、ゲノミックセレクションを行うことが有効であると考えられた。すなわち、水産生物で新たに選抜育種するには、1)野生個体の収集、2)BLUP法を利用した軽度の選抜と基礎集団の確立、3)ゲノミックセレクションによる選抜、という工程で行うのが効率的であると言えた。
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