2013 Fiscal Year Research-status Report
甲殻類の卵巣発達の内分泌制御機構: 仲介~標的因子の網羅的解析
Project/Area Number |
25850143
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
筒井 直昭 岡山大学, 理学部, 助教 (00643785)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 甲殻類 / クルマエビ / 内分泌 / 卵黄形成 / ビテロジェニン |
Research Abstract |
クルマエビから摘出した卵巣片を、卵黄形成抑制活性を有するペプチド (Pej-SGP-I) の存在下 (実験区) および非存在下 (対照区) で培養したのち、各組織からtotal RNAを抽出した。これらを用いてライブラリを作製し、次世代シーケンサーによりRNA-Seqを行った。得られたデータを基に配列をアセンブルし、BLAST解析によって相同性のある遺伝子を探索した。さらに、ペプチド存在下と非存在下で培養したサンプルの両方の配列データを用いて作製したコンティグを参照配列として、発現量の解析も行った。 培養の結果を評価するために定量的RT-PCRを行った結果、ホルモン存在下ではビテロジェニン遺伝子が有意に減少しており、RNA-Seqを行うのに有効なサンプルであると判断された。RNA-Seqによって得られた配列データの量や質に関して、実験区と対照区との間に大きな差は認められなかった。両区の発現量比較を行った結果、合計32389個のコンティグのうち、7059個 (21.8%) が対照区で、4537個 (14%) が実験区で、それぞれ10倍以上の高い発現を示すことが明らかとなった。数種のハウスキーピング遺伝子についてはいずれも変動が1.2倍程度に収まることが確認された。卵黄形成期や最終成熟期において卵巣内のタンパク質量が増加する表層胞タンパク質、カテプシンC、スロンボスポンジンなどは、ペプチドの影響で遺伝子発現量が低下する、すなわちビテロジェニンと同様の制御を受けていることが初めて示唆された。一方で、ビテロジェニン受容体と推測される遺伝子の発現に変動はなかった。また、BLAST解析により、卵黄形成抑制活性を有するペプチドの受容体の候補となる遺伝子を数種類見出すことができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
25年度は、卵黄形成抑制作用を持つペプチドの作用により発現が変動する因子の探索を、タンパク質やペプチド側からの網羅的解析によっても行う計画であったが、装置の不調などもあり、着手はしたものの十分な検討ができなかった。26年度は、遺伝子発現解析を一部外注するなどして、タンパク質やペプチド側からの網羅的解析に注力し、最終的には研究計画を達成する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画の最終年度となる26年度は、当初の計画通り、卵黄形成抑制活性を有するペプチドの標的となる因子の同定と機能解析に集中して取り組む。質量分析装置によるタンパク質やペプチドの同定については、25年度にRNA-seq 解析で構築した発現遺伝子のデータベースを用いてより効率的に進める。加えて、得られた成果の公表に努める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究計画では、学内の質量分析装置の使用料や消耗品代として多額の予算を計上していたが、当該装置に故障や不具合が多く発生したために利用できない期間があり、結果として次年度使用額が生ずることとなった。 26年度は当初の計画通りに研究を遂行するが、遺伝子発現解析を外注したり、プロテオーム解析を学内の分析計測部門への依頼分析とするなど、残予算を効率的に活用することで分析作業にかかる時間の短縮を図り、最終的には研究計画を達成する予定である。
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Research Products
(4 results)