2014 Fiscal Year Research-status Report
フグ毒テトロドトキシンのヒト消化管吸収メカニズムの解明
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25850144
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Research Institution | Prefectural University of Hiroshima |
Principal Investigator |
松本 拓也 県立広島大学, 生命環境学部, 助教 (30533400)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | テトロドトキシン / Caco-2細胞 / 消化管吸収 / ABCトランスポーター / BCRP / MRP1 / MRP2 / MDR1 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度は,以下の項目について検討した。 (1)ヒト大腸癌由来Caco-2細胞におけるフグ毒テトロドトキシン(TTX)の吸収速度と排泄速度を比較した。pH勾配がない(pH7.4/7.4)条件およびpH勾配がある(pH6.0/pH7.4)条件下で比較すると,TTXの吸収速度と排泄速度に有意差は認められず,pHの影響は見られなかった。一方,インキュベーション温度を4℃に下げると,吸収速度と排泄速度は,両者ともに37℃の測定結果に比べて顕著に低下した。以上のことから,Caco-2細胞単層膜によるTTXの吸収と排泄には,細胞と細胞の隙間を通過して輸送される細胞間隙輸送はなく,Caco-2細胞の内部を通過して輸送される経細胞輸送の関与が考えられた。
(2)ヒトの薬物排泄トランスポーターであるMDR(Multi-drug resistance)1,BCRP(Breast cancer resistance protein),MRP(Multidrug resistance-associated protein)1およびMRP2をバキュロウイルス/昆虫細胞系に過剰発現させた市販の細胞膜を用いて, TTXの輸送活性を調べた。調べたトランスポーターの中で,BCRPによるTTX輸送活性が最も高く,次いで,MRP2,MRP1の順であった。また,MDR1は,輸送速度にTTXの濃度依存性が認められず,輸送活性は低いと考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ヒト大腸癌由来Caco-2細胞におけるフグ毒テトロドトキシン(TTX)の吸収と排泄の輸送形式を検討した結果,経細胞輸送経路の関与が指摘された。さらに,薬物排泄トランスポーターによるTTXの輸送活性を調べて,TTXが輸送されることを確認できたため,計画立案時の内容をほぼ実行できていると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度の成果に基づき,引き続き,ヒト大腸癌由来Caco-2細胞におけるフグ毒テトロドトキシン(TTX)の吸収と排泄について,経細胞輸送経路の実体を解明するための実験を行う。
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Causes of Carryover |
物品費として計上した予算に余剰が発生したため,次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
試薬等の消耗品の購入費に充てる予定である。
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Research Products
(3 results)