2014 Fiscal Year Research-status Report
経営実験を用いた篤農技術のイノベーション伝播過程に基づく総合支援手法の開発
Project/Area Number |
25850148
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
安江 紘幸 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 東北農業研究センター生産基盤研究領域, 特別研究員 (40508248)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ビジネスモデル / 経営実験 / 水田作 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,農業経営において経営戦略・計画・管理プロセスの成果を評価するための経営実験フレームを考案し,それぞれに制約条件をつけて経営実験を開始し,その成果評価の検証をリアルタイムに行うことを目的とする。 平成26年度は,大規模水田作経営7社が出資して創業した共同販売会社をモデルとして設定し,購買・販売部門の統合化における最適な品種構成および広域連携による効果について検討した。本年度の成果は,経営間連携に向けた取り組みとして米の販売部門を統合した広域連携モデルにおいては,コシヒカリの田植・収穫と作業受託を基準として営農計画を立案することが合理的であることが示唆された。その場合,K社米のように直接販売において競合他社との差別化を図る上では,価格優位性を発揮する品質や栽培方法を経営間で統一し,お互いの圃場を視察することや共通する栽培技術の講習会を定期的に実施し,お互いの技術水準を把握すると同時に,品質管理をお互いがチェックする仕組みの構築が有用であることが確認できた。さらに,昨今の急激な米価下落がA級銘柄を中心に現れていることや,地域志向の実需者から地域性を帯びたB級銘柄が求められていることから,将来的にはA級銘柄を中心に営農計画を立案する現状からの脱却も視野に入れた戦略が求められると考えられる。そのため,次年度においては,こうした点を踏まえ撤退戦略に向けた全社的な視点を考慮した総合支援手法の開発を目指す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究遂行にあたり,現地実験協力者から随時情報提供が行われるとともに,実証経営から実験に係る理解・協力が得られたため,スムーズな調査・実験が可能となっている。また,調査結果を年度末に報告書としてまとめるとともに試験研究内容について研究協力者と共に現地実証地へ赴き,試験協力者である農業経営者と意見交換を実施し,総合支援手法に関する改善点等の提案を受けている点などのフィードバックを実施してきたことは,本研究の進展に強く影響している。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度となるため,主としては,これまでの調査・実験結果を取りまとめて学会報告を実施するとともに,実験に協力頂いた実証経営と関連する経営者を招いた意見交換会(10月)および年度末に成果報告会(3月)を現地(石川県・福島県)で実施する予定である。なお,関連して開発してきた総合支援手法については,年内を目処にマニュアル作成を目指す。
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