2015 Fiscal Year Research-status Report
内生的な温暖化適応品種選択を内包する多地域動学的応用一般均衡分析:緑茶を事例に
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25850154
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Research Institution | Reitaku University |
Principal Investigator |
阿久根 優子 麗澤大学, 経済学部, 准教授 (90363952)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | フードシステム / 品種多様化 / 応用一般均衡分析 / 地域経済 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、緑茶を対象に気候変動による農業、食料関連産業及び複数の地域経済への影響について、地域動学的応用一般均衡モデル(DCGEモデル)を用いて定量的に分析することである。 2015年度は、鹿児島県における現地調査で緑茶の技術普及に関してヒアリング調査を行った。その中で、農業分野の茶葉生産での品種多様化が川下にあたる製茶業の生産性を高めているという知見を得た。そこで、この点について関連するデータを用いて定量分析を行ったところ、同様の結果が得られた。 これらを踏まえて、第52回日本地域学会年次大会にて「異時点間動学的応用一般均衡モデルを用いた茶樹品種選択行動による地域経済効果」を報告するとともに、62nd Annual North American Meetings of the Regional Science Association International(北米地域学会)の「Agricultural Production and Trade」セッションにて「The Regional Economic Impact of the Diversification of Green Tea Cultivars: Using a Recursive Dynamic CGE model」を報告し、討論者とフロアーとの間で、地域の人口減少の中で茶葉の品種多様化による緑茶のフードシステムを通じた地域経済への影響についてディスカッションを行い、有益な示唆を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2015年度は品種多様化が進んでいる鹿児島県での現地調査で得られた知見を定量分析で確認するとともに、モデルに導入しその結果を学会で報告し有益なコメントが得られたためである。
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Strategy for Future Research Activity |
農業部門での品種多様化によるフードシステムを通じた地域経済への影響について、学会報告で得られたコメントを基に改善点をモデルに導入し、その結果を国際学会で報告する。そこでの議論を通して研究の質を高めるとともに、成果の発表に努める。
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Causes of Carryover |
研究実施段階で、農業における品種の多様化が川下の食品製造業や地域経済に影響を与えているという知見を得た。これを踏まえて、新たに気候変動下での品種多様化による地域経済への影響についての研究成果を国際学会で報告するためである。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
延長申請した段階では、2016年4月25日からイスタンブール(トルコ)で行われる地域学会の第11回世界大会に報告予定(2015年12月16日発表確定連絡)であったが、現地事情により大会は中止となった。 このため、2016年6月27日からバンコク(タイ)で行われる環太平洋地域学会での報告に使用する予定である。
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