2013 Fiscal Year Research-status Report
フードデザート問題の解消に向けた都市農業の多面的機能に関する研究
Project/Area Number |
25850159
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
池島 祥文 横浜国立大学, 国際社会科学研究院, 准教授 (20607923)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | フードデザート / アグリオアシス / GIS |
Research Abstract |
2013年度は,第一に先行研究のレビューを通じて,概念の整理や問題の要因,規模,分析手法の整理を行った.類似した概念として,日本国内では,「買い物難民」,「買い物弱者」(経済産業省),「食料品アクセス問題」(農林水産省)があるが,これらの概念は細かい差異を含みつつも,総じて買い物に不便を感じる「人々」に焦点を当てていることが確認できた.一方,FDs問題は主にそうした人々がいる「地域」に焦点を当てている.これは,問題を個々人の社会経済的な事情に帰着させるのではなく,店舗立地や交通システム,さらには,高齢者福祉等,地域が抱える社会的特性に起因する問題として把握できることを意味している.つまり,問題解決を地域全体の取り組みとして位置づけていく必要性が浮かび上がったといえる.また,先行研究の整理からは国別もしくは地域別に,FDs問題を引き起こす社会経済的要因は大きくことなっており,調査対象地の特性を見極める必要が研究上重要だと明らかになった. 第二に,本年度は横浜市保土ヶ谷区を対象として,日常生活に必要な生鮮食品や日用品の買物に困難を感じる住民が多い地域を明確にするために,データベースの構築を進めた.収集したデータは,横浜市保土ヶ谷区の生鮮品販売店舗,町丁目人口,建物・土地利用,地形,農地・直売所に関する各種統計情報等である.それらをもとに,FDsマップを作成し,建物の位置情報からFDに含まれる人口を試算した.また,そこに直売所・無人販売所の位置情報とそこからの徒歩移動距離範囲を重ね,アグリオアシス効果を解析した. 上記の空間解析で得られたFDs候補地に対して,少数ではあるが,小売店舗,買物客・住民,直売所やひき売りを行っている農家に対して,ヒアリング調査を実施し,仮説としての試算結果がある程度現実と適合していることが確認された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
年度計画では,(1)先行研究の分析・整理,(2)データベースの構築,(3)現地調査を予定していたが,そのうち(1)(2)は十分達成できたといえる. ただし,(1)(2)に時間がかかったこともあり,(3)はまだ調査数が少ない段階にある.とはいえ,研究の目的である「地域における食をめぐる生活環境の悪化を『フードデザート(FDs)問題』と捉え,大都市における実態解明と都市農業による解決策の提示を試みる」ことは着実に進んでいる.
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Strategy for Future Research Activity |
データベースの拡充を通じてGIS解析を進めるとともに,現地調査を実施する必要がある.また,検証しようとしているアグリオアシス効果は,直売所・ひき売りポイント数に影響を受けるため,現地調査を通じて,データベースの拡充を進める.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究初年度であり,やや抑制気味に予算執行を進めていたため. 次年度以降は,本年度の研究蓄積を活用して,成果発表の回数も増えることが見込み得るため,旅費の執行が予定されている.さらには,データベースの作成に際しての人件費での支出も追加的に検討している.
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Research Products
(2 results)