2015 Fiscal Year Annual Research Report
フードデザート問題の解消に向けた都市農業の多面的機能に関する研究
Project/Area Number |
25850159
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
池島 祥文 横浜国立大学, 国際社会科学研究院, 准教授 (20607923)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | フードデザート / アグリオアシス / 都市農業 / 買い物難民 / GIS |
Outline of Annual Research Achievements |
2015年度は、同一市内での比較分析(横浜市保土ヶ谷区と泉区)に取り組んだ。その成果として、第一に、両地域のフードデザート(FD)マップの作成および解析を通じて、より詳細な地域分析を行った。主に、町丁目別に、買い物徒歩500m圏外に位置する住民数の夜間人口比率(FD人口比率)を算出し、それに基づいて買い物事情が深刻な程度を町丁目別に示すことができた。その結果、両区では約26%の町丁目において、FD人口比率が90%以上となる深刻な買い物事情に陥っていることが鮮明になった。個人属性や個人の社会経済的状況に大きく左右されがちな買い物事情ではあるものの、町丁目別状況を示すことで、地域としての課題が浮かび上がったといえる。 第二に、FD人口比率をもとに、両区の高齢者(65歳以上人口)数を算出した結果、保土ヶ谷区では2.8万人、泉区では2.1万人がFDに含まれると推計された。そのうち、FD人口比率が90%以上の町丁目における高齢者数を推計すると、保土ヶ谷区では1万3千人、泉区では、5千人を擁する結果となった。 第三に、そうしたFDエリアに対して、地域の農産物直売所を利用することで生鮮食品の買い物事情が改善される効果(アグリオアシス効果)を、両区で比較したところ、保土ヶ谷区では1500人、泉区では1800人の高齢者がそれぞれ、買い物事情が緩和されると推計された。アグリオアシス効果としては、泉区のほうが対象人口数の点では上回っているものの、FD人口比率が90%以上となる買い物事情が深刻な町丁目の位置とアグリオアシス効果が発揮される(農産物直売所)の位置とを重ね合わせると、保土ヶ谷区において、よりアグリオアシス効果が買い物事情の悪化している地域にて発生しているという結果になった。
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