2013 Fiscal Year Research-status Report
中国における作物在来品種の保全・管理システムの解明
Project/Area Number |
25850160
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
冨吉 満之 金沢大学, 人間科学系, 博士研究員 (20506703)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 在来品種 / 東アジア / NPO / 種苗会社 / 台湾 |
Research Abstract |
作物の在来品種の保全・利用について、文献調査を進めると共に、今年度は中国の都市近郊部を対象とした実態調査を実施した。主に行政関連機関へのヒアリングから、都市化の影響を強く受けて農家は換金作物の栽培へと転換しつつあり、在来品種は減少している傾向が伺われた。ただし、地域に根差した在来品種も一定の割合で残っていることがヒアリングから明らかとなった。これと並行して資料収集を進め、次年度の分析のためのベースを構築した。 また、中国との関係の強い台湾における文献資料収集および読み込みを進め、次年度前半に計画している台湾調査の準備を行った。この調査では、現地のカウンターパートとの調整によって、政府機関、民間種苗会社、NPO等への調査準備が完了し、2年目の初夏までには調査が実施される予定である。 次に、東アジアの在来品種管理モデル構築のために、韓国や日本での事例を調査し、各国間の比較分析を実施するための基礎的な情報を収集した。日本では、石川県内の加賀野菜および能登野菜を対象とした実態調査を行った。その結果、種の保全といった理論的な概念を民間会社のリーダーが積極的に啓発する中で、関係者や行政担当者にもそのような理念が浸透し、保全に貢献していることが示唆された。また、その際にブランド化が重要な役割を果たしていたものの、長期的に保全と利用を進めるためには、ブランド化および行政補助に関する正負両面の効果を明示的に捉えることが必要であることが課題として示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
中国本土に関しては、予備的な調査を行うに留まったが、今後の継続的な訪問調査に必要となるネットワークを構築することができた。また、台湾人留学生の協力により、台湾の現状に関する情報や文献資料を中心に、想定以上に収集を行うことができ、現地調査の前に制度的・社会的背景を把握することができた。また、日本や韓国での調査結果からは、次年度に行う予定であった東アジアのモデル構築に寄与しうる情報を得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
中国本土および台湾への調査を上半期に実施し、各国の現地での情報収集を完了させる。そのために、前年度に構築したネットワークを活用し、訪問前、訪問時における効果的な情報整理を行う。必要に応じて、共同研究者や留学生などの協力を得ながら、現地調査のフォローアップを図る。 中国の都市部および内陸部での調査実施のために、現地研究者の協力を仰ぎつつ、短期間の調査の間に、キーパーソンへのヒアリングや、農民、NPO等へのアンケート調査を実施するための調整を前半に行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年6月1日より金沢大学に異動し、新しい職場での研究プロジェクトに参加するようになったため。 また、(1)海外調査の費用が想定よりも低く抑えられた、(2)次年度において集中的に海外調査を複数回実施する可能性が出たため、次年度の海外旅費で使用する必要が生じたため。 上記理由でも触れたとおり、次年度には海外旅費を中心に、当該助成金を使用する予定である。
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