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2014 Fiscal Year Research-status Report

過放牧により劣化した乾燥地草原の水循環回復過程の解明

Research Project

Project/Area Number 25850163
Research InstitutionThe University of Tokyo

Principal Investigator

西田 和弘  東京大学, 農学生命科学研究科, 助教 (90554494)

Project Period (FY) 2013-04-01 – 2016-03-31
Keywords乾燥地草原 / 水収支 / モンゴル / 過放牧
Outline of Annual Research Achievements

過放牧により劣化した草原を再生させることは世界的に重要な課題であるが,これには,その土地元来が持つ水循環へと回復させることが核心となる.本研究は,異なる放牧状態にあるモンゴルの草地における土壌水分・水収支項目の測定と現場土壌の物理性を用いた水循環の数値計算により,放牧の有無による土壌水分量・水収支の違い,禁牧による草原の水循環回復過程を明らかにすることを目的としたものである.
平成26年度は,冬期に放牧が行われている通常の草地において深さごとの土壌水分量変化,各種水・熱収支項目(純放射・潜熱・顕熱・地中熱フラックス・降雨量)の連続測定,土壌サンプリングによる鉛直水分量の測定を行うことで,植物生育期間中(4-9月)の完全な水収支・熱収支データを得た.また,同様の測定を,上記草原と気象条件は同じであるが土性は異なる(土粒子が粗い)隣接する砂丘地においても実施し,土性の違いが評価可能となるデータセットを取得した.さらに,前年度に現地で採取・輸入した土壌の物理性(粒径分布,水分特性)を室内実験で測定した.
上記,本研究で得た水収支・熱収支データは,このような測定データが不足しているモンゴル草原にとって貴重なデータであり,モンゴル草原の水循環把握にとって不可欠なものである.特に,気象条件が同じであるが土性の異なる条件下で測定した水収支・熱収支データは,このような測定が可能となる地点が極めて限られており重要なデータである.また,今回得た土壌の物理性によって,土壌-植物-大気間における水・熱移動モデルを用いた数値計算が今後,実施可能となった.数値計算による計算結果は,上記の水収支・熱収支のデータセットによって検証であり,今後より信頼性の高いモデルの構築が可能である.

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

平成26年度は,草原の水収支・熱収支の連続観測の継続,各種草原土壌の物理性の把握,今後の数値モデルの検証のための土性の異なる草原(上記草原と砂丘地)の水収支・熱収支データセットの取得を目的とし,平成26年4月下旬,10月上旬の現地調査,および室内実験を実施した.その結果,草原の水収支・熱収支の連続データは,植物の生育期間全てに対して取得できた.土壌の異なる草原の水収支・熱収支データセットは,機器トラブルにより全期間の測定は行えなかったものの,4月~7月の3ヶ月間のデータが取得できた.また,土壌サンプルの物理性については,粒径分布,水分特性曲線の測定を行った.以上より,平成26年度は,おおむね計画通りの進捗であった.しかし,平成26年度末に現地住民により測定器具のほぼ全てが破壊されたため,それ以降の連続データの取得は不可能となった.

Strategy for Future Research Activity

当初の予定では,平成27年度も水収支・熱収支項目の連続測定を継続する予定であったが,平成26年度末に現地住民により測定器具のほぼ全てが破壊されたため測定の継続は不可能となった.ただし,数値モデルの検証・改良に必要な検証データ・入力データは一通り揃っている.今後,これらを用いてモデルの検証・改良を実施する.そして,このモデルを用いて様々な土性,放牧条件下での水循環の数値シミュレーションを行うことで,禁牧による土壌の物理性の回復や土性の違いが,乾燥地草地の水循環に与える影響を解析する.

Causes of Carryover

当初の予定では,平成27年度も水収支・熱収支項目の連続測定を継続する予定であり,機器の追加購入を予定していたが,平成26年度末に現地住民により現在設置中の測定器具のほぼ全てが破壊されたため測定の継続は不可能となった.そのため、当初予定していた機器の更新が不可能となった.

Expenditure Plan for Carryover Budget

測定機器の現状については,共同研究者の報告によるもので現場確認はまだ実施できていない.現場確認の旅費とするとともに,平成27年度実施予定の数値モデルの検証・改良に必要なデータの現場測定・室内実験に使用する.また,一部機器の破損状況によってはその修復に使用する.

  • Research Products

    (1 results)

All 2014

All Presentation (1 results)

  • [Presentation] モンゴル草原における土性が土壌水分環境に与える影響2014

    • Author(s)
      宮坂 加理・塩沢 昌・西田 和弘・ウンダルマ ヤムサラン・シグレマ バツスキ・吉田 修一郎
    • Organizer
      農業農村工学会全国大会
    • Place of Presentation
      新潟
    • Year and Date
      2014-08-26 – 2014-08-29

URL: 

Published: 2016-06-01  

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