2015 Fiscal Year Research-status Report
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25850164
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
中島 正裕 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (80436675)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 農地保全 / 内発的的発展 / 合意形成 / ネットワーク分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
2015年度は以下の通り、調査と実践支援を実施した。 1 長野県富士見町、群馬県みなかみ町 富士見町では、対象農地の所有者と利用者の計91名をその所有・利用形態に基づき3タイプに分類した(A:農地を所有しており自身で利用している人、B:農地を所有しており自身では全く利用していない人、C:農地を所有しておらず借りた農地を利用している人)。このうち調査協力を得た28名(Aタイプ16名、Bタイプ8名、Cタイプ4名)へヒアリング調査(世帯、農地利用状況、貸借、獣害に関する計72項目)を実施した。この28名で対象農地の約69.9%がカバーできた。さらに、一筆ごとに土地利用調査(計268筆)を実施した。この調査結果に過去の調査結果(2009年、2011年、2012年、2015年)も加えて、農地利用状況(作付け地、管理のみ農地、耕作放棄地の3分類)をデータベース化した。そして、この4時点の農地利用状況に基づき、クラスタ分析(ward法)を実施し、一筆ごとに農地の利用変遷とその要因を分析した。 みなかみ町では、現地踏査(平成26年)と空中写真(平成6,10,13,22,26年)により、たくみの里全域の土地利用の変遷を一筆ごとに把握し、土地利用のデータベースを作成した(ArcGIS10.1)。3つの空間スケール(全域・小字・観光資源周辺)で、空間解析を行った。そして、土地利用の変遷と各事業の関係性を解明した。さらに谷地集落の農地所有者への将来意向に関するヒアリングを実施した。 2 先進事例分析 島根県美郷町を事例に経営学における「場」の論理を援用して、内発的発展過程における内発性醸成の要件、及び「意識」から「行動」に移るメカニズムの検討を行った。学会発表や研究会などでもこれらの点に関して議論することで、内発的農地保全の支援方法のあり方に関する有益な知見を得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
農地変容の将来予測(シミュレーション)に使用するデータを現場(農家)からの全面協力を得て精緻に取得できたが、その分、当初予定していた期間(2ヶ月)を大幅に超過(6ヶ月)した。このため住民および行政と協議し、シミュレーションの構築、その結果を用いた土地利用の合意形成に関する座談会などは、次年度に実施することとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
内発的農地保全の支援に関する方法を具体的に検討し、社会実験として実施する。具体的には、地区内の農地変容の将来予測(マルチエージェント・シミュレーション)を提示しながら,農地貸借の円滑化、不在地主への対応など9つの課題への対策を内包した住民による土地利用計画案の策定を支援する。そして,内発的農地保全の実現に向けた有志組織の設立、既存集落内組織や行政との連携による組織体制づくりを支援する。こらのプロセスも含め,内発的農地保全に向けて1年目から実施してきた座談会とWSの内容・運営方法を合意形成の方法論の観点から検証する。 最終的にこれまでの成果とそのプロセスにおける実践支援を方法論的に積み上げ体系化し、中山間地域における内発的の農地保全の支援手法を構築する。
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Causes of Carryover |
農地変容の将来予測(シミュレーション)に使用するデータを現場(農家)からの全面協力を得て精緻に取得できたが、その分、当初予定していた期間(2ヶ月)を大幅に超過(6ヶ月)した。このため本年度予定していた、シミュレーションの構築が遅れ、ワークショップも開催できなかったため、次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
旅費、ワークショップの備品、人件費(学生アルバイト)使用する予定
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