2015 Fiscal Year Annual Research Report
微生物の代謝機能を利用した地盤環境修復技術の研究開発
Project/Area Number |
25850166
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
中野 晶子 九州大学, (連合)農学研究科(研究院), 助教 (10631286)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 地盤環境修復 / 微生物活性 / 脱窒 / バイオグラウト / バイオガス / 炭酸カルシウム / 不飽和化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,微生物活性を利用した新たな地盤改良修復技術の開発を目指し,脱窒反応を利用した砂質土地盤の土質特性の変化について検討を行っている.本年度は,昨年度の研究から得られた成果をもとに,脱窒により生成する窒素ガスの砂質土の不飽和化への効果について検討するために,室内模型実験を実施した. 模型実験では,異なる温度環境下において砂質土供試体中で脱窒反応を誘発させ,供試体の体積含水量と間隙水圧の経時変化を測定し,飽和度の変化について検討した.反応に用いる反応基質の濃度は,昨年度の研究結果から得られた最適条件を採用した.恒温25℃の環境下で行った実験では,飽和状態の砂質土供試体に対し,脱窒反応後に予測した窒素ガス生成量と同等の飽和度の低下がみられた.一方,冬季の低温環境下(平均室温13~17℃)で行った実験では,脱窒の反応速度が遅く,恒温時と同程度の反応基質を添加したにも関わらず,飽和度の低下の程度が小さくなった.これは,脱窒の進行に伴って生成する窒素ガスの気泡の成長速度の違いが起因するといえる.脱窒反応が遅い場合は,生成するガスの単一の気泡径がより小さくなると考えられ,砂供試体の間隙径よりも小さな径を持つ気泡は,地盤を構成する砂の骨格構造を通り抜けて,大気へ開放されることが予想される.実際に,実験時の脱窒反応速度をもとに理論式から予測した気泡径の成長速度は,温度の違いによって大きな差があることが示された.また,適用する砂地盤の間隙径や骨格構造の違いも気泡の移動に大きく寄与すると考えられ,本反応プロセスを考える際の重要なパラメータとなるといえる. 以上の結果から,脱窒反応により生成するバイオガスの砂質土の飽和度の低下への効果が示されたとともに,バイオガスの土中での生成・移動に関する新たな知見を得ることができた.
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Research Products
(5 results)