2014 Fiscal Year Annual Research Report
暑熱負荷時の鶏の代謝時系列変化およびその連動性の解明
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25850182
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
喜久里 基 東北大学, (連合)農学研究科(研究院), 助教 (90613042)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 暑熱ストレス / 骨格筋 / ミトコンドリア / 活性酸素 / タンパク質分解 / atrogin-1 / ユビキチンプロテアソーム系 / UCP |
Outline of Annual Research Achievements |
暑熱環境下において、家禽の体内では呼吸性アルカローシス、体タンパク質分解、酸化ストレスが生じることが知られている。研究計画2年目に当たる本年度では、培養ニワトリ筋細胞を用いたミトコンドリア活性酸素(ROS)過剰産生(酸化ストレス)・タンパク質分解の連動性の解明に加え(試験1)、ミトコンドリアROS産生制御に有効なオレウロペイン(オリーブ特有ポリフェノール)を給与した際における上記2反応へおよぼす影響を調べた(試験2)。【試験1】ニワトリ筋細胞を高温培養した結果、ミトコンドリアROS産生量が増加し、さらにユビキチンプロテアソーム系タンパク質分解システムの構成因子atrogin-1・MuRF1(ユビキチン転移酵素)のmRNA発現量も増加した。ミトコンドリア膜透過性抗酸化剤Tempolを添加すると、ミトコンドリアROS産生量のみならず上記遺伝子の発現量も抑制され、細胞タンパク質量も回復した。また、in vivo試験においても、骨格筋における両者の増加が同一時間帯に認められたことから、暑熱時ではミトコンドリアROS産生がタンパク質分解の誘導因子であることが示された。【試験2】抗酸化作用のみならずミトコンドリアROS産生制御タンパク質(UCP)の発現量を増加させるオレウロペインを暑熱負荷ニワトリに給与した結果、骨格筋におけるミトコンドリアROS産生の増加がUCP発現上昇を介して完全に抑制されると同時に、atrogin-1の発現量も抑制され、さらに増体量も一部回復することが示された。以上の結果より、暑熱時の増体量低下にはミトコンドリアROS産生およびタンパク質分解の連動作用が重要な役割を担っていることが示された。他方で、増体量の回復は一部にとどまったことを考えると、本研究では想定していなかった要素例えば炎症性サイトカイン放出なども暑熱ストレス発生に関与している可能性が推察された。
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