2013 Fiscal Year Research-status Report
鶏の骨格筋および脂肪の組織形成に対するアドレナリンの作用とその作用機序の解明
Project/Area Number |
25850187
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
井尻 大地 鹿児島大学, 農学部, 助教 (50551090)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ニワトリ / 骨格筋 / 脂肪組織 |
Research Abstract |
本研究では、孵化直後のニワトリ初生ヒナに対するβ2アドレナリン受容体作動薬(クレンブテロール)の単回投与による骨格筋重量増加と腹腔内脂肪組織重量減少の作用機序を明らかにすることを目的とした。 クレンブテロールを投与したヒナでは、大腿部の骨格筋である縫工筋重量が有意に増加した。一方、胸部の骨格筋である浅胸筋の重量には変化が認められなかった。縫工筋と浅胸筋において骨格筋タンパク質分解の指標である3-メチルヒスチジン含量を調べたところ、縫工筋においてクレンブテロール投与による3-メチルヒスチジン含量の減少が認められた。続いて、縫工筋と浅胸筋における骨格筋量の負の調節因子であるミオスタチンmRNAの発現量を分析した結果、縫工筋においてミオスタチンmRNA発現の有意な減少が確認された。これらの結果より、初生ヒナへのクレンブテロール投与は、骨格筋においてミオスタチンmRNAの発現減少とその後のタンパク質分解の抑制を介して誘導される可能性が示された。 一方、クレンブテロールを投与したヒナの腹腔内脂肪組織では、脂肪細胞サイズの減少とニワトリの脂肪細胞の分化誘導に関連する転写因子であるKLF-15やZNF423のmRNA発現減少が確認された。加えて、クレンブテロールを投与したヒナの脂肪組織では、脂肪酸合成酵素とacetyl-CoA carboxylaseのmRNA発現が減少した。これらの結果から、初生ヒナへのクレンブテロール投与は、脂肪細胞の分化・成熟を遅延させる可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、β2アドレナリン受容体作動薬を投与した初生ヒナの腹腔内脂肪における組織化学的な分析は、概ね計画通りに進んだ。しかしながら、腹腔内脂肪の組織化学的な分析に時間がかかったため、骨格筋の組織化学的分析は計画からやや遅れてしまった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、ニワトリの骨格筋細胞および腹腔内脂肪細胞に対するβ2アドレナリン受容体作動薬の作用をより詳細に明らかにするため、培養細胞系での実験を行う予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度は,14,057円が未使用で残った。 当該科研費は、基金として翌年度への持ち越しが可能であるため、使い切らなかった。 平成26年度分として請求した額と合わせた助成金は、9割を実験用に試薬代金として使用する予定である。残りの1割は、学会報告するための出張旅費と論文印刷費として使用する予定である。
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Research Products
(2 results)